事例1.派遣会社でパワハラ!? 派遣1日で契約解除
派遣社員によるトラブルを2つみていきます。一つ目の事例は派遣会社P社からZ社に派遣されたA子さんの話です。
A子…派遣社員
P社…A子が登録する派遣会社
Z社…A子が派遣される派遣先企業(ホームセンターを多店舗展開)
Z社はホームセンターを多店舗展開している企業。社員は4,000人、パートタイマーやアルバイトが1,000人ですが、本社の事務社員は店舗スタッフから異動した女性が多く、語学、貿易事務などの経験者が欲しいと考え、派遣社員に目を向けました。A子さんは30代前半・大卒、言葉遣いが美しくハキハキした女性で、TOEIC850、パソコンの操作も問題ありません。パソコンが苦手だったり英語が分からなかったりする社員に比べても、理想的な人物です。留学経験もあることから英語での会話にも物おじしません。
Z社との顔合わせの印象も良く、早速就業開始となったA子さんですが、出勤するなり通りすがりの男性社員から髪を引っ張られ、「髪はちゃんと結ぶように」叱責されます。驚いたA子さんですが、その時は素直に従い、手持ちのシュシュですぐに髪をまとめました。
ところがその後も、直属の上司や面接で話した管理職以外から、「飾りのついていない黒いゴムでしっかりと後ろで一つに結べ」「明日から髪を黒く染め直してくるように」と指摘が入ります。派遣会社からも顔合わせの時にも、ひと言も何も言われていなかったこと、また髪を引っ張られキツイ口調で注意されたことから、A子さんは非常に気を悪くしてしまいました。
初日の就業後、様子伺いのため電話してきた派遣会社Pの担当者に相談したところ、「今日中に髪を黒くしてください」「僕も実はその色はちょっとまずいなと思っていたんですよね」と言い出したところから、A子さんはますます頑なになってしまいます。
元々、バンギャ(ヴィジュアル系バンドの女性ファン)だったA子さんは髪にこだわりがあり、毎月美容院でライトブラウンのハイトーンとダークブラウンのロートーンを入れて立体的に見えるようにしていました。「事前に髪色や髪型のことなんてひと言もなかったじゃないですか」とP社の担当者に詰問するA子さん。「お客様を接客する店舗従業員も皆、同じように黒髪で肩につく場合は結ぶよう指導しているのでA子さんもそうしないといけない」と主張するZ社と派遣会社P社の担当者。完全に不信感を持ったA子さん、折り合いがつかず、結局、初日で辞めるという話になってしまいました。
このケースの問題点としては、派遣会社Pの担当者の聞き取りや調整力に不足があったことがまず挙げられます。またZ社のパワハラやセクハラなど社風についての理解が不足していたかもしれない点も否めません。A子さん自体も、白黒がはっきりした理不尽なことが嫌いな性格だったのですが、今回は融通の効かなさ、極端な結論を出してしまうといった良くない方向にそれが出てしまいました。期間満了せず明日から出勤しませんという辞め方は、派遣業界では御法度。今後、A子さんがP社から仕事の紹介を受けるのは難しくなりそうです。
ではA子さんを切った派遣会社P社と派遣先Z社はすっきりしたかというとそうでもありません。Z社から嫌味を言われ平謝りし、代わりの派遣社員をすぐに寄越すように言われた派遣会社P社の担当者は、なんとか次の候補者を見つけたものの、率直なところA子さんの器量に及ぶ人物では到底なく、Z社から不評を買ってしまいました。またZ社も「せっかく即戦力になりそうな優秀な人が来てくれたのにもう少し丁寧に説明できなかったのか」という意見と、「うちは飲食店などと同じ接客業の企業なんだから身だしなみは当たり前なのに非常識だ、そもそも面接過程で直させておかない人事担当者が悪い」という意見が真っ向からぶつかり、しばらくは店舗全体がギグシャクしていたといいます。
杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>
注目のセミナー情報
【海外活用】12月7日(土)開催
従来の分散投資で資産を守れるのか?
新時代の富裕層が実践する
金融大国「シンガポール」や「フィリピン永住権」を活用した新・資産防衛法
【国内不動産】12月7日(土)開催
元サラリーマン大家の現役投資家社長が伝授…
インバウンド需要を逃すな!
《札幌・民泊投資》で勝ち組になる方法