経営側と従業員。労使問題という言葉があり、労働基準法をはじめさまざまなルールや制約があることからもわかるように、共に企業活動を行う組織の一員でありながら、時には利害が対立することも避けられません。なぜ従業員による内部告発は起きてしまうのか。予防法は? 美容クリニックを例に考えていきます。※本記事で紹介している事例は、事案特定を防ぐため設定等を変えています。

従業員が内部告発…その先に待ち受ける企業の運命

労使が拗れてしまう原因の一つとして、俯瞰的視野に立とうとするあまり、ともすれば企業側が個々の従業員目線を持てなくなり配慮を欠いてしまうことがあげられます。このズレは往々にして「パワハラやモラハラによる組織の機能不全」「高い離職率」「不正の隠蔽」などといった問題を引き起こし、時には従業員は「内部告発」という強硬手段に出ることもあります。

 

世間的には、問題を隠蔽し告発をねじ伏せようとする「悪の企業」vs.「正義のために声を上げた従業員」の戦いというイメージで捉えられがちな内部告発ですが、必ずしもそうとばかりは言えないのが本当のところです。裁判など法律に照らし、従業員の内部告発が不当であると判断されたり、SNSやネット掲示板などで企業の名誉や評判を下げる行為ややり方が偽計業務妨害のように不適切な行為とみなされたりすることもあるのです。

 

とはいえ、悪い噂はよく燃えるのが現代のネット社会。最終的に解決するまでに拡散した悪い評判は、会社の経営に大きなマイナス要因となることは間違いありません。また、裁判などには多大な時間と費用もかかります。会社と従業員が揉めているという事実は、他の従業員の士気にも悪影響を及ぼすでしょう。またこの揉め事により、本来であれば会社の発展に寄与してくれたはずの優秀な人材が失われることもあり得ます。できることなら揉め事にならないうちに上手く従業員の不満や問題を解消するに越したことはないのです。

 

「命令する」「上下関係を盾に従わせる」「敵対しねじ伏せる」といった向き合い方ではなく、「聞く」「話し合う」「理解を深める」「歩み寄る」といった姿勢を見せることが、今後の人材不足が確定している我が国では重要になるでしょう。

 

従来、我が国では、JTC(Japanese traditional company)か、ベンチャー企業かを問わず、「聞く」「話し合う」「理解を深める」「歩み寄る」といった姿勢を見せることが不得手であることは否めません。GAFAM*1、またはMATANA*2のカリスマティックな経営者による個々の従業員に訴えかけるパフォーマンス戦略には、我々も学ぶ部分が少なからずあると言えるでしょう。

 

*1:Google(グーグル)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)の5つの大手企業を指す言葉

*2:マイクロソフト(Microsoft)、アマゾン(Amazon)、テスラ(Tesla)、アルファベット(Alphabet)、エヌビディア(NVIDIA)、アップル(Apple)の頭文字をとった造語

 

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