日本の企業は9割以上が中小企業ですが、なかには従業員が数人しかいない小規模企業も無数にあります。また現在、離婚率は約35%ほど。離婚は珍しくありません。そのことからも、シングルペアレントの事業経営者も少なからず存在しています。その負担は大きく、体力的にも精神的にも超人的な苦労があるでしょう。今回、シングルペアレントの経営者に対して元配偶者が突如として現れる事例から、小規模企業における採用者予定者のバックグランド調査について考えていきます。※本記事で紹介している事例は、事案特定を防ぐため設定等を変えています。

10年ぶりに連絡してきた元配偶者「改心した」と言うが…

梨花さん(仮名)はアラフォーの女性社長です。お父様は造園関係の企業を経営している地元の名士で、すでに高齢。造園の事業は弟が継ぐことになりましたが、弟ひとりにすべてを任せるのは負担が大きく、公共施設のガーデンデザインなど一部の事業は分離し、梨花さんが別会社を設立して担うことになりました。少子高齢化で肉体労働に携わりたがる若者が減り、職人の高齢化が進むのはこの業界も同じで、従業員の採用・教育、大手との差別化による生き残り、独自路線や新事業の探求と、梨花さんは非常に多忙でプレッシャーの多い毎日を過ごしています。

 

梨花さんには子どもがいますが、子どもの父親である知久さん(仮名)とは10年前に離婚しています。学歴、家柄、当時の彼の職業や収入が理由で、梨花さんの両親はふたりの結婚に大反対でした。しかしながら梨花さんは彼にベタ惚れで、「彼と別れるくらいなら家を出ていく、勘当してもらって構わない」とまで言い放ち同棲を始めたのです。そんななか、娘が妊娠していることを知った梨花さんの両親は、娘の幸せのためにと泣く泣くふたりの結婚を許します。ただし、知久さんが今のアルバイトを辞め、梨花さんの実家の家業に携わるという条件付きでした。

 

知久さんにしっかりと仕事を教え込み、息子や娘の片腕になってもらおうというご両親の計画は、残念ながら4ヵ月も経たず頓挫します。「嫁の実家の干渉がキツい」「自由がない」「面白くない」と塞ぎ込むようになった知久さんは、次第に体調不良を訴えるなどして職場に顔を出さなくなります。「XX家の人間としての自覚」「一家の長としての責任」を求める梨花さんや梨花さんの両親との溝は深まるばかり。夜泣きする赤ん坊と梨花さんを残して、友人と飲みに出かけ朝まで、あるいは翌日の夕方まで帰ってこないことも増えました。当然、夫婦喧嘩は絶えません。

 

そんなある日、知久さんは「離婚してくれ」と言い出します。そして離婚届一枚を置いて出ていったきり、頑なに梨花さんからの連絡にも応じず、ふたりの結婚生活は終わりを告げます。

 

まだ幼い子どもと残された梨花さんはメンタルが不安定になるほど苦しみましたが、実家族の厳しくも愛に満ちたサポートと、育てられた環境で育まれた「家の一員」という思いが、彼女を再出発へ向かわせます。折しも梨花さんの父親が還暦を過ぎて体力の衰えを訴えていたことから、梨花さんも経営者の娘から経営陣の一員、そして一経営者へと成長していったのでした。

 

忙しい毎日。成長する子の育児。そんななかでも出会いがゼロだったわけではなく、お見合いや婚活を勧められたこともあったといいます。しかしながら、再婚に繋がる縁がなかったのが、たまたまなのか、知久さんとのことが尾を引いていたのか……こればかりは当人にしかわかりません。

 

そんなある日、メールの受信ボックスに知久さんからのメッセージを見つけた梨花さんは、しばらく血の気が引いて頭が真っ白になりました。一気に押し寄せるさまざまな複雑な感情。もう10年も経ったのに、まだ私はこの人のメッセージ1通にこんなにも心乱されるという事実に一番驚きました。

 

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