自分のパソコンを使ってください!派遣会社の〈とんでも要求〉を飲んでいた「派遣のシングルマザー」が遂に大爆発…派遣社員と派遣会社、派遣先企業の間に起きたトラブル事例

自分のパソコンを使ってください!派遣会社の〈とんでも要求〉を飲んでいた「派遣のシングルマザー」が遂に大爆発…派遣社員と派遣会社、派遣先企業の間に起きたトラブル事例

経営側と従業員。労使問題という言葉があり、労働基準法をはじめさまざまなルールや制約があることからもわかるように、共に企業活動を行う組織の一員でありながら、時には利害が対立することも避けられません。なぜ従業員による内部告発は起きてしまうのか。予防法は? 今回は派遣社員と派遣会社、派遣先企業の間に起きたトラブルを例に考えていきます。※本記事で紹介している事例は、事案特定を防ぐため設定等を変えています。

事例2.「派遣先×派遣社員」vs.「派遣会社」の対立構造に

2つ目の事例です。

 

B子…派遣社員

Q社…B子が登録する派遣会社

X社…B子が派遣される派遣先企業(医療関連企業)

 

派遣会社Qは小規模な派遣会社で、大手派より登録者数も少なく、また取引先(派遣先)の企業もこれまで派遣社員を使用したことがない中小企業などが中心です。そのため、「大手と違い年齢や経験だけで門前払いしない」「派遣社員に対し親身になってサポートする」というのが売り文句です。

 

派遣先となるX社は海外から医薬品や化学薬品の原材料を輸入している会社で、社員数は50人以下ですが、売上高は上々。管理職も大手製薬会社出身者や国立大学で研究に携わっていた人など、錚々たる面々です。初めて派遣社員を迎えることになったのは、Q社の営業を受けてのことでした。学究肌な経営陣は、実際に業務の一部をやってもらって判断したいと要求しました。

 

B子さんは非常に真面目で作業効率も良いのですが、社会人としてのブランクが長かったこと、年齢が高いことから仕事探しに苦労していました。大手派遣会社ではなかなか希望とマッチした仕事に繋がらずQ社に登録しました。

 

Q社の担当者は良く言えば明るい、悪く言えば適当な人物だったようで、顔合わせでいくつも話に齟齬が見つかりました。就業時間が早朝であること、作業をする場所が倉庫の一角で非常に寒いこと、余っているパソコンがないため派遣社員が自らのパソコンを持ち込む必要があること。しかしながらB子さんはいずれも快諾し、X社の面接担当者も好感を持ちました。また実際、業務の一部を行なったところ、X社としては十分満足のいく結果でした。

 

ここからはB子さんからの情報ですが、採用が決まり、顔合わせの帰り道、Q社の担当者は「万が一、パソコンが故障したりしたら、うちでちゃんと補償するので言ってくださいね!」とB子さんに断言したそうなのです。

 

B子さんの仕事ぶりは上々で、契約は更新されました。ところが4ヵ月半を過ぎた頃、B子さんのパソコンが突然故障してしまいます。古い型式でも問題なく作業できていたのですが、ここ二日程調子が良くなく、朝出社すると完全に故障して立ち上がらなくなってしまったのです。これは誰のせいでもなく、データ自体は別途保存していたため問題なかったのですが、ここで思いがけないトラブルが発生します。約束どおり、修理をお願いしようとB子さんがQ社に連絡したところ、担当者の返事は「とりあえず自分で修理に持って行くか、買い替えるかしてください」というものでした。「修理して欲しい、修理できないなら同等のものでいいので用意して欲しい」と希望するB子さんと、「そんな古いパソコンを持ち込んで、壊れたから弁償してくれなど不当要求だ」というQ社の言い分と真っ向対立してしまいます。

 

そしてQ社では社長自らが「パソコンを持ち込みたいと勝手なことを言ったのはB子さんだと聞いている」と言い始める始末。実はB子さんはシングルマザーでなかなか仕事が決まらなかったこともあり金銭的に逼迫。また借金もあったことから、できるだけ安い中古パソコンを購入していました。そのためパソコンは相当古い年式のものではあったようです。また、何かあった際にはQ社が補償してくれると安心していたため、今すぐパソコンを買い直す金銭的余裕もなかったのです。

 

自分が古いパソコンを無理やり持ち込み、壊れたから多額の金銭を不当にせしめようとしているというふうにQ社の社長から言われB子さんは非常に傷つきました。涙ながらに就業先のX社の同僚や上司たちに事情を説明したところ、Q社の担当者はX社の怒りを買ってしまい、「派遣先企業+派遣社員」VS「派遣会社」の戦いとなってしまったのです。

 

X社は、B子さんとの契約終了後に直接契約を結ぶことに決め、Q社とは取引停止に。一方、Q社の社長は「それは契約違反だ!」として激怒。さらにB子さんを嘘つき呼ばわりしたうえに訴訟をちらつかせたとか。しかしトラブルはX社のトップの耳に入ることになり、「裁判になったところで、困るのはあなたたちですよ」と門前払いをしたといいます。ちなみに法律では、派遣先と派遣社員が派遣期間終了後に雇用契約を締結することを、派遣元が禁止してはならないと定めています。

 

<労働者派遣法第33条>

(派遣労働者に係る雇用制限の禁止)

第33条 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者との間で、正当な理由がなく、その者に係る派遣先である者(派遣先であつた者を含む。次項において同じ。)又は派遣先となることとなる者に当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用されることを禁ずる旨の契約を締結してはならない。

2 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に係る派遣先である者又は派遣先となろうとする者との間で、正当な理由がなく、その者が当該派遣労働者を当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用することを禁ずる旨の契約を締結してはならない。

 

またB子さんはよほど悔しかったのでしょう。事の顛末を洗いざらいネットの口コミに書いてしまいました。すると「私もQ社でヒドイ目にあいました」という口コミが他にも投稿されたのみならず、ネット特定班によりQ社の営業担当のSNSが特定され、そこでくだんの件を含め、仕事上の愚痴や担当している登録者に対する批判がいくつも書き込まれていることが発覚し炎上。これらはQ社の経営陣の知ることとなり、社内でかなり問題となったそうです。

 

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