誹謗中傷の加害者へ法的措置をとるには
オープンチャットで誹謗中傷をされた場合、相手の特定ができた場合、そのあととれる法的措置は、「損害賠償請求」と「刑事告訴」です。両方の要件を満たすのであれば、両方の措置をとることもできます。
ただし、両方の措置をとろうとするとコストや時間がかかる傾向にあるため、いずれかひとつを選択することもあるでしょう。また、誹謗中傷の内容や態様によっては、「損害賠償請求はできそうである一方で、刑事告訴は難しい」など、一方の措置しかとれないこともあります。両方の法的措置をとるのかいずれか一方の法定措置のみをとるのかについては、弁護士からアドバイスを受けたうえで検討するとよいでしょう。
相手に連絡を取り損害賠償請求をする
1つ目は、損害賠償請求です。損害賠償請求とは、相手の不法行為によって被った損害を金銭によって賠償するよう、相手に対して求めることです。損害賠償請求ははじめから裁判を申し立てるのではなく、まずは弁護士から相手に文書を送るなどして行うことが一般的です。
この時点で相手が反省の姿勢を見せて請求どおりの額を支払った場合には、事件が終結します。この場合、「以後誹謗中傷を行わない」などの合意書へ署名や押印を取り付けることが多いでしょう。
一方で、相手が弁護士からの文書を無視するなど不誠実な対応をする場合や請求額を支払わない場合には、裁判上の損害賠償請求へと移行します。裁判となると、損害賠償請求の可否や金額について裁判所が判断します。
相手を刑事告訴する
2つ目は、相手を刑事告訴することです。オープンチャットでの誹謗中傷は刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪にあたる可能性があり、相手に前科や前歴が付くこととなります。ただし、名誉毀損罪や侮辱罪は「親告罪」とされており、相手を処罰してもらうためには被害者からの告訴がなければなりません。
刑事告訴とは、警察や検察などの捜査機関へ犯罪行為があった事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。誹謗中傷事件の場合は、警察署へ告訴状を提出することで告訴を行うことが一般的です。
告訴状が受理前後で、警察にて事件の捜査が行われ、必要に応じて犯人(被疑者)が逮捕されます。そのあとは検察に身柄が送られ、検察でも事件の捜査がなされたうえで、起訴か不起訴かが決まります。
正式起訴となった場合には、有罪・無罪や具体的な量刑が決まるという流れです。ただし、警察や検察捜査については捜査機関に委ねられ、たとえ被害者であっても細かな指示を出したり逐一報告を求めたりすることはできません。
証拠を残し、早期に弁護士へ相談を
LINEオープンチャットは通常のLINEアカウントは異なるニックネームやプロフィール画像で参加でき、原則として本アカや本名が特定されることはありません。
一方で、誹謗中傷や脅迫などの権利侵害があった場合は、発信者情報開示請求をすることで投稿者を特定できる可能性があります。そのため、オープンチャットで誹謗中傷されたら証拠を残したうえで、早期に弁護士へご相談ください。相手が匿名であっても、法的措置を諦める必要はありません。
※LINEオープンチャット:つかい方ガイド
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