(※写真はイメージです/PIXTA)

ネット上で誹謗中傷などの被害に遭った際、投稿者の身元を知る手がかりとなるのが、ネットワークに接続されているスマホやPCなどに割り振られた番号です。これを「IPアドレス」といいます。本記事では、IPアドレスを活用したネット上の誹謗中傷トラブルへの対処について、Authense法律事務所の弁護士が解説します。

「IPアドレス」とは?

IPアドレスとは、パソコンやスマートフォンなどインターネットに接続する機器に割り当てられる、インターネット上の住所のようなものです。IPアドレスは、情報を送受信するための技術上の必要性から割り振られています。

 

IPアドレスには、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスがあります。ここでは、それぞれの概要について解説します。

 

グローバルIPアドレス

グローバルIPアドレスとは、インターネットへ接続する際に使われるIPアドレスです。発信者情報開示請求の文脈で単に「IPアドレス」といった場合は、こちらを指していることが多いでしょう。グローバルIPアドレスは「〇〇〇.〇〇〇.〇〇〇.〇〇〇」のように、0から255の数字の4組で表記されます。

 

プライベートIPアドレス

プライベートIPアドレスとは、会社や自宅など限られた範囲内での通信(ローカルネットワーク)で用いられるIPアドレスであり、「ローカルIPアドレス」と呼ばれることもあります。プライベートIPアドレスはそのローカルネットワーク内で重複して用いられることはないものの、ほかのローカルネットワーク内で使用されるプライベートIPアドレスと同じ番号が用いられることは珍しくありません。

 

グローバルIPアドレスを「外部につながる電話番号」、プライベートIPアドレスを「内線電話番号」とたとえられることもあります。

IPアドレスだけで個人情報を特定できる?

IPアドレスがわかれば、そこから個人情報を特定できるのでしょうか? 順を追って解説します。なお、これ以後単に「IPアドレス」と表記する際は、グローバルIPアドレスを指すものとします。

 

IPアドレスだけでは住所・氏名までは特定できない

IPアドレスが判明したからといって、そこから個人の住所や氏名が特定できるわけではありません。IPアドレスと、住所や氏名が紐づいた情報が公表されているわけではないためです。なお、所定のツールにIPアドレスを入力することによって、次の情報まではわかる可能性があります。

 

・接続している国、地域、郵便番号
・接続に使用しているプロバイダ

 

接続プロバイダに開示請求をすることで契約者の住所や氏名がわかる

IPアドレスを見ただけでは、個人を特定することはできません。しかし、接続プロバイダ(KDDIやNTTなど)にIPアドレスをもとに情報の開示請求がなされると、プロバイダ契約者の住所と氏名が判明します。

 

当然ながら、契約書住所や氏名は重要な個人情報であるため、特に理由もなくプロバイダへ問い合わせても開示されることはありません。一方で、他者の名誉を毀損しているなど権利侵害があると判断された場合は、開示が認められる可能性が高くなります。

 

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