書面添付制度を使えば税務調査を受けないのですか。
◆書面添付制度で税務調査を省略できる
十分な説明・解説をした申告書を作成したつもりでも、税務署の調査官に疑問点や不審事項がある場合、書面添付制度を利用しないと質問を受けることができず、その結果、税務調査に移行してしまいます。逆にいえば書面添付制度を利用すれば、意見聴取により疑問点を解消させることで、調査省略につながることになります。
また、調査に移行した場合でも、疑問点が明確になっているので、調査の簡素化が図られます。
◆税理士が申告書の適正を表明
相続税の申告書を作成するに至った過程を説明して、計算根拠や納税者からの相談に応じた事項を明らかにします。税理士が独立した公正な立場において高度の注意義務を果たしたこと、誠実義務と説明責任を尽くしたこと、その結果、申告書が適正であることを表明する書面を添付するという制度です。
具体的には、税務署は、税務調査の前に相続税の申告書を作成した税理士へ申告内容の疑問点を質問してその意見の聴取をします。申告書は税理士が作成していますので、質問に対する回答が得られて疑問点が解消されれば、調査省略につながります。また、税務調査が実施されなければ、納税者の負担が減少します。
さらに大きなメリットは、税理士への意見聴取で申告漏れが発覚した場合には、書面添付制度の特典として、自主的に修正申告したものとなり過少申告加算税が免除になることです。
実際に意見聴取で問題がなければ「調査省略通知書」である「意見聴取結果についてのお知らせ」が税務署から税理士へ郵送されます。この書面は、相続税申告をした納税者からも高く評価されています。下記の図表2をご参照ください。
深代 勝美
公認会計士、税理士、行政書士
深代税理士法人 理事長、(株)アンテックス代表取締役社長、経営コンサルタント
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