利用状況によって「土地の相続税評価額」が変わる!?
◆貸家が建っている土地では評価減に
土地の相続税評価額は、土地の状況だけではなく、その土地の建物の利用状況によっても変わります。ここからは更地の時の評価額である自用地価額が1億円として、事例で考えてみましょう。
自宅が建っている場合、自用地価額により評価するので、評価額は1億円となります。
ただし、自宅の場合には、「小規模宅地等の特例」の適用という制度が利用できます。自宅について特例の適用を受けると、330m2まで80%の評価減となります。
したがって、自宅の敷地が330m2だと仮定すると、評価減となって評価額は、
1億円×(100% − 80%)= 2,000万円
となります。
また、土地や建物を貸している場合についても見ておきましょう。
もし貸家が建っている場合は、
自用地価額 ×(100% − 借地権割合 × 借家権割合)
という計算式で評価します。貸家には、賃貸アパート・マンション、貸店舗、貸事務所などのように賃貸借契約を結んでいる場合が含まれ、このような貸家が建っている敷地を貸家建付地と呼びます。
借地権割合は地域によって異なるのですが、60%の地域と考えると、借家権割合は30%なので、今回の場合は、
1億円 ×(100% − 60% × 30%)= 8,200万円
の評価額になります。
◆貸地の場合も評価減になる
次に、土地を貸している場合はどうでしょうか。他人の建物が設けられていて、借地権が設定され、地代を受け取っている貸地は、
自用地価額 ×(100% − 借地権割合)
で評価します。借地権割合が60%だと、
1億円 ×(100% − 60%)=4,000万円
の評価額となります。
この場合、評価額4,000万円ですが、貸地は借地権者に購入していただくか、地主と借地権者の話し合いがまとまれば一緒に売却するかなどしかなく、利用できないだけでなく、処分もしにくい財産ですから、相続税評価が時価より高いとの意見もあります。
なお、よくあるケースですが、親の土地に子どもが建物を設けて、地代を支払っていない場合については、子どもには借地権の権利がないものとされています。そのため自用地価額(更地)により評価することになり、この例では1億円の評価額になります。
このような土地を無償で利用している方法を使用貸借といいますが、昔は親子間の使用貸借が問題視されていて、贈与税が課税されていました。
しかし、親の土地に子どもが無償で家を建てることが社会で一般的に行われ、税法が社会の実情にそぐわなくなり、親子間の使用貸借は認められるようになりましたが、評価は下がりません。