相続税の税務調査「問題なし」はわずか15%以下…指摘される可能性の高い金融資産の例と、調査対象に選ばれやすい申告書5つのケース【税理士が助言】

相続税の税務調査「問題なし」はわずか15%以下…指摘される可能性の高い金融資産の例と、調査対象に選ばれやすい申告書5つのケース【税理士が助言】
(画像はイメージです/PIXTA)

相続税の申告・納税後に、税務調査が行われる場合があり、驚く方もいるようです。ここでは、税務調査の調査対象に選ばれやすい金融資産と、調査対象になりやすい申告書の例を見ていきます。※本記事は、公認会計士・税理士・行政書士の深代勝美氏の著書『改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100』(あさ出版)の中から一部を抜粋・再編集したものです。

相続税の税務調査について基本的なことを教えてください。

相続税申告の申告漏れが85%以上

相続税は、法人税や所得税と同様に税務調査が行われ、そのうち問題がないのが15%以下で、85%以上は申告漏れが指摘されています。さらに、追加で支払った税額も1件当たり平均で568万円と法人税や所得税と比較すると圧倒的に多額です。

 

なぜなら相続税は、所得税などと比べ課税価格が多額なので、修正申告した際の税額も高くなるからです。

 

税務調査は、申告書提出後おおよそ6カ月〜2年後に行われます。

 

税務調査は申告漏れを発見するのが目的であるため、土地や建物のように見ればわかる資産ではなく、金融資産のような隠しやすく、見つかりにくい財産を中心に調査されます。

 

かつては、割引債や郵便貯金は隠しても見つからない(見つかりにくい)という噂もあったようですが、実際は隠しても発見されやすく、そのような甘言にはだまされないほうが賢明です。

 

では、調査で指摘される可能性の高い金融資産とは、どのようなものでしょうか。

 

①被相続人本人の預貯金から引き出したお金

 

死亡直前から3〜5年の間で引き出したおおよそ50万円以上の金額について、その使途が質問されます。これは、隠し口座に入金したのではないか、あるいは被相続人本人以外の名義預金にしたのではないか、また申告していない他の資産の購入に充てたのではないかといったことを確認するためです。このように、亡くなる直前に引き出したお金については、相続財産になることが多いので、資金の使途は明確にしておくことが大事です。

 

また、生前に土地などの不動産を売却しており、売却代金が多額である場合は、20年前の売却でも、その売却代金の行方が調査されます。

 

保険については、被相続人本人の口座から引き落とされている保険料の契約内容が確認され、本人と家族名義の保険について細かいチェックがあります。

 

つまり、契約者が被相続人ではなく、配偶者や子どもたちであっても、保険料を負担していたのが被相続人であれば相続税の対象となります。

 

②被相続人名義以外の預金(いわゆる名義預金)

 

預金に関しても、被相続人本人名義は当然として、被相続人本人以外の配偶者や子どもおよび孫名義の預金まで調査対象になります。意外に思うかもしれませんが預金が配偶者や子どもなどの名義であっても、その名義人に収入がなければ、配偶者や子どもなどの預金としては認められません。配偶者や子どもなどの名義を借りて預金をしていても、それらは被相続人の相続財産となります。

次ページ調査対象に選ばれやすい申告書とは?

※本記事は、公認会計士・税理士・行政書士の深代勝美氏の著書『改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100』(あさ出版)の中から一部を抜粋・再編集したものです。

改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100

改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100

深代 勝美 編著
深代税理士法人 著

あさ出版

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