法律制定の背景に「家庭の事情の複雑化」も…配偶者を亡くした〈妻・夫〉の生活を守る「配偶者居住権」とはなにか?【税理士が解説】

法律制定の背景に「家庭の事情の複雑化」も…配偶者を亡くした〈妻・夫〉の生活を守る「配偶者居住権」とはなにか?【税理士が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

近年の日本では、さまざまな家庭のあり方が想定されるようになり、それにともなって令和2年より「配偶者居住権」が制定されました。どのような権利であり、どのように活用されるのか、具体的に見ていきましょう。※本記事は、公認会計士・税理士・行政書士の深代勝美氏の著書『改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100』(あさ出版)の中から一部を抜粋・再編集したものです。

配偶者を亡くした〈妻・夫〉の生活を守る「配偶者居住権」

現行の問題点は老後の生活資金不足

配偶者が居住用不動産を取得すると、老後の生活資金が足りない場合があります。

 

たとえば居住用不動産が2,000万円、預貯金が3,000万円の合計5,000万円の場合、配偶者の法定相続分は1/2の2,500万円ですから、居住用不動産2,000万円を相続すると預貯金は500万円しか相続できません。これでは、老後の生活資金が心配です(図表1参照)。

 

[図表1]配偶者居住権がない場合

 

見直しのポイント

配偶者居住権は、配偶者が相続開始前に居住していた被相続人の所有の建物の使用を終身または一定期間、配偶者に認める制度です。

 

メリットとしては、配偶者は、配偶者居住権で自宅での居住を継続しながら、老後の生活資金が得られることです。

 

配偶者居住権は、所有権のおおよそ半額になりますので、所有権の2,000万円から1,000万円です。これであれば、配偶者は預貯金を1,500万円相続できます(図表2参照)。

 

[図表2]配偶者居住権が新設された
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※本記事は、公認会計士・税理士・行政書士の深代勝美氏の著書『改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100』(あさ出版)の中から一部を抜粋・再編集したものです。

改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100

改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100

深代 勝美 編著
深代税理士法人 著

あさ出版

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