個人消費も振るわず、インフレが沈静化か
⽶労働省が公表した2024年6⽉のCPIは、前年⽐+3.0%と、5⽉(同+3.3%)、市場予想(同+3.1%)ともに下回る結果となりました(図表6)。1-3⽉に想定を超える強さを⾒せたインフレ率の勢いは、収束しつつあります。
前⽉⽐では、▲0.06%と、5⽉(同+0.01%)、市場予想(同+0.1%)ともに下回り、⽶国経済がコロナ禍にあった2020年春以来の下落となりました。5⽉に続き、エネルギーが前⽉⽐▲2.04%と⼤幅に下落したことが、CPIを下押ししました。
やや気がかりな点としては、主要品⽬である家庭⽤⾷料品(前⽉⽐+0.13%)が5ヵ月ぶりにプラスとなったことや、労働需給が緩和傾向にあるなかで、外⾷(同+0.41%)が⼒強い伸びを⽰したことです。
変動の⼤きい⾷料品およびエネルギーを除くコアCPIも、前年⽐+3.3%と、市場予想(同+3.4%)を下回る結果となりました。瞬間⾵速を映す前⽉⽐では、+0.06%(5⽉︓+0.16%)と、2021年1⽉以来の低い伸びとなりました(図表7)。
FRBが注⽬する基調的なモメンタムを⽰す、3ヵ月前⽐年率値(5⽉︓+3.30%→6⽉︓+2.10%)、6ヵ月前⽐年率値(5⽉︓+3.74%→6⽉︓+3.31%)ともに、インフレ率が鈍化傾向にあることを⽰唆しました。
コアCPIの内訳をみると、コア財は前⽉⽐▲0.12%(5⽉︓▲0.04%)と下落基調が継続しています(図表8)。
内訳をみると、⾐料品が前⽉⽐+0.11%となったものの、新⾞(前⽉⽐▲0.16%)や中古⾞(同▲1.53%)は下落となりました。CPIの中古⾞に先⾏するマンハイム中古⾞価格指数は下落傾向にあり、CPIの中古⾞は、7⽉も下落を続ける可能性が⾼いことを⽰唆しています(図表9)。
今回のCPIで注⽬すべき点は、コアサービスが前⽉⽐+0.13%と5⽉(同+0.22%)から鈍化し、2021年8⽉以来の低い伸びとなったことです。特に、住宅サービスインフレは鈍化しており、品⽬別では⺠営家賃が前⽉⽐+0.26%(5⽉︓同+0.39%)、帰属家賃が前⽉⽐+0.28%(5⽉︓同+0.43%)とともに減速し、2021年以来で最低となりました。コアサービスのうち、パウエルFRB議⻑が重視するスーパーコア(家賃を除くサービス)は前⽉⽐▲0.05%(5⽉︓同▲0.04%)と、2ヵ月連続の下落となりました。
前述の通り、パウエルFRB議⻑は議会証⾔で、「今年初めは、2%のインフレ⽬標に向けた進展がみられなかったが、最新の⽉次データはさらなる緩やかな進展を⽰している」と評価したうえで、「さらに良好なデータがみられれば、インフレ率が2%へ持続的に低下しているという確信が強まる」とも述べました。6⽉のCPIは、「さらに良好なデータ」と評価に値する結果であったといえます。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…7月第2週の「米国経済」の動き』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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