「税務調査」の対象はどのようにして決まるのか
日本では、納税者の自己申告により申告納税する「申告納税制度」が採用されています。
国税庁によると、この申告納税制度が適正に機能するためには「第一に納税者が高い納税意識を持ち、法律に定められた納税義務を自発的に、かつ適正に履行することが必要」とのことです。
こうしたなか、納税者が正しく税務申告を行っているかどうか、また納税者の税額の計算ミスや虚偽の申告がないかどうか、不正行為を働いていないかなど、納税者の申告内容が正しいかどうかを税務署が確認するために、「税務調査」が実施されます。
「納税者の申告内容が正しいかどうかを確認するため」とはいいましたが、実際には税務調査の対象となった段階で、税務署は「正しくないだろう(追徴税を課せるだろう)」というスタンスでいると考えていいでしょう。
では、税務署はどのようにして税務調査の対象を選定しているのでしょうか。
2001年から導入されている「国税総合管理(KSK)システム」
調査対象の選定には、「国税総合管理(KSK)システム」がおおいに役立っています。
国税総合管理(KSK)システムとは、全国524の税務署と12の国税局をネットワークで結ぶコンピュータシステムです。毎年の確定申告や給与の源泉徴収票等もこのシステムにまとめられており、私たち納税者の所得や財産は、おおよそ把握されています。
たとえば、生前の確定申告の情報などから、「この人は3憶円くらいの財産を持っているだろう」とKSKシステムが導き出したとしましょう。
このとき、提出された相続税の申告書に「1億円」と記載されている場合「差額の2億円をどこかに隠しているのではないか?」といった疑念から税務調査の対象となるわけです。
また、税務署は強い調査権限を有しています。そのため、たとえば相続税の調査を行う場合、被相続人と相続人の金融機関の預金口座について、過去10年ほどの履歴をさかのぼって調べることもできるのです。
ここで、仮に100万円単位の大きな出金が複数回ある場合などは、タンス預金を隠しているのでは? 高額な財産を購入したのでは? 誰かに贈与しているのでは? などと推測され、税務調査の対象となる可能性が高まります。
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