ウチの社員を疑うのか!? 調査官に激怒した68歳のAさん
Aさん(68歳)は、従業員十数名を抱えるX社の社長です。ある日、Aさんの携帯に、税務署から電話が入りました。聞けば、「税務調査のために、X社に伺いたい」とのこと。
Aさんは「クソッ、めんどうだな……まあでもここでゴネて目をつけられても損だし、仕方がないか」と、渋々調査を受けることに。
そして、税務調査当日。X社に2人の調査官が訪れました。担当の税理士やインターネットの情報から、かなり警戒していたAさんでしたが、調査官の穏やかな話し方や、雑談を交えたフランクな聞き取りに拍子抜け。
「なんだ、こんなもんか……」と安心しかけていたAさんでしたが、調査官のひと言で和やかな雰囲気が一変します。それは、ある仕入先について念入りに帳簿を調べていた調査官からの質問でした。
調査官「粗利益率が年々少しずつ低下していますね。特にZ社に対する支払いが年々増えているようですが……なにか心当たりはありますか?」
Aさん「そうですか? 仕入れは営業担当のYに任せているから詳細はちょっと……。ちゃんとやってもらえているはずですが」
調査官「Z社に対する仕入に不審な点があるので、ご担当のYさんを呼んでいただくことはできますか?」
Aさん「ええっと……それはウチの不正を疑っているということですか? しかも、彼は長年私についてきてくれた優秀な男です。そんな彼を疑うのか!?」
調査官「いえ、そういうことではなく……。Z社との取引に疑問があるので、御社のなかでもっともお詳しいであろうYさんに詳細を伺いたいということです」
Aさん「私たちだってプライドをもってやっているんだ。言葉には気をつけていただきたい!」
従業員の不正を疑う調査官に、Aさんは激怒。しかし……
Aさんの怒りも虚しく、調査官がYさんに聞き取りを行った結果、Yさんはある仕入先と結託し、仕入額の水増しを行っていたことが発覚しました。
実は、取引先であるZ社へ先に調査が入っており、そのなかで取引履歴等を調べるうちに、X社からの外注費について疑惑が浮上。X社にも税務調査に入ることになったようです。
Yさんが着服していた金額は、なんと1,000万円近くにのぼります。これにより、X社は450万円ほどの追徴課税を命じられることとなりました。
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