あった、ありました!…調査官が見つけた「タンス預金」
税務署の調査力に驚いた事例として、知り合いの80代女性(以下、Aさん)から次のような話を聞きました。
Aさんの夫は会社を経営しており、A家は金銭的になんの不自由もない生活をしていました。夫はかなりの本好きで、家とは別にトランクルームを借りるほどだったそうです。
その夫が亡くなった際、Aさんは「トランクルームを解約しなければ」と考えましたが、本の数が膨大であることに加え、愛する夫の遺品が詰まっている場所をすぐに手放すことはできませんでした。そのため、Aさんはたまにそのトランクルームへ立ち寄っては、少しずつ整理する日々を送っていたといいます。
そうして夫の死から2年ほど経ったある日、Aさんのもとに税務署から1本の電話が入りまました。話を聞いてみると「相続税調査に伺いたい」とのことです。
相続税の申告と納税を長男に一任していたAさんは、まったく心当たりがありません。しかし、「変に渋って目をつけられるのも嫌だから」と、素直に調査を受けることにしました。
税務調査当日、Aさんの自宅に、調査官2名(B、C)がやってきました。緊張していたAさんですが、税務調査は雑談からスタートし、和やかな雰囲気です。やがて、調査官はAさんに次のように尋ねました。
調査官B「旦那さんにご趣味はおありでしたか?」
Aさん「はい。夫は本が好きで、家に入りきらず別にトランクルームを借りているほどです。維持費もかかるし、そろそろ解約しなきゃと思っているんですが、なかなか踏ん切りがつかなくて……。たまに立ち寄っては整理しているんですけれど」
調査官B「そうなんですね。そのトランクルームを実際に見せてもらうことはできますか?」
Aさん「え、ええ……かまいませんけど、散らかっていますよ?」
その後、調査官とAさんは、自宅近くのトランクルームに移動しました。そのトランクルームは、亡き夫が生前集めた本の数々が所狭しと並んでいます。
調査官B、C「おお、見事ですねえ……」
Aさん「ええ(笑)これでも整理したほうなんですが……ここに来ると夫との思い出が蘇ってきて、思わず『あの人が一生懸命集めた本を全部捨ててしまっていいのか』って気持ちになるんですよ。だからなかなか片づけが進まなくて」。
調査官B「お気持ちわかります。本にはあまり詳しくありませんが、これは価値がありそうですね」
さも本に興味を持っているように話す調査官ですが、実は狙いは別のところにありました。しばらくして、ずっとなにかを探していた調査官Cが声を上げます。
なんと、トランクルームのダンボールから現金が見つかったのでした。その額、なんと8,000万円。寝耳に水のAさんは思わず腰を抜かしてしまったそうです。
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