近所で有名な“やり手社長”の悲劇
59歳のオーナー社長であるAさんは、とある地方で建設会社を営んでいます。近年は業績も好調に伸びており、年商はついに1億円を突破。“やり手社長”として地元のローカルテレビにも出演するなど、その地域ではよく知られた存在です。
売上を伸ばすなかで節税対策にも力を入れていたAさんは、社用車として「ベンツ」を購入することにしました。昔から高級車に憧れがあり「いつか最上グレードのベンツに乗る」ことをモチベーションのひとつにしていたといいます。
「ついに俺も成功者の仲間入りだ……」
憧れの高級車を手に入れ、悦に浸るAさんでした。
そんなある日のこと。税務署から「税務調査に伺いたい」との連絡が入りました。
建設関係には税務調査が入りやすいことを知っていたAさんは税務調査対策もしており、税理士同席のもとで調査に臨むことに。
そして調査当日。当初は警戒していたAさんですが、予想外に和やかな雰囲気で調査がスタートしました。世間話を交えながら会社の業績が伸びている理由などについて質問があったのち、調査官は会社の入口に置いてあるベンツに目を留めました。
調査官「あのベンツはすごいですね~。かなりグレードの高い車種だと思うのですが、社長のお車ですか?」
Aさん「ええ、そうですよ。大手とも取引があるし、私自身メディアにも出るためあまりみすぼらしい車には乗れないと思いまして」
調査官「社用車としてお使いのようですが、車の運行記録や顧客訪問の記録などはありますか?」
Aさん「ああ……運行記録とかは特につけてないんだけど、顧客訪問の記録はありますよ」
調査官「なるほど、そうなんですね。では、車両にかかる費用についての資料を見せていただけますか?」
調査官の要求に従い、Aさんはクレジットカード明細やETC記録、領収書等を見せました。すると、仕事先とは無関係の温泉街にあるガソリンスタンドで給油や洗車を行っていたり、観光地に向かう高速道路でETCを使用していたりと、次々と“業務外”での私的利用が発覚。
その結果、会社利用として認められない部分について追徴税を支払うハメになってしまいました。
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