「発信者情報開示請求」とは?
発信者情報開示請求(以下このコラムでは単に「開示請求」といいます)とは、インターネット上に誹謗中傷の書き込みをした人を特定するための手続きです。誹謗中傷の投稿は、刑事罰や損害賠償請求の対象となる可能性があります。
しかし、相手が誰であるのかわからなければ、刑事罰を課したり損害賠償請求をしたりすることは困難です。そこで、これらの法的措置に先立って相手の身元を特定するために開示請求を行います。
雑談たぬきへの投稿に開示請求をする主な目的
雑談たぬきとは、匿名で書き込みができるインターネット掲示板のひとつです。では、雑談たぬきへの書き込みに対する開示請求はどのような目的で行うのでしょうか? 主な目的は次のとおりです。
相手に対して損害賠償請求をするため
最も一般的な目的は、相手に対して損害賠償請求をするためです。誹謗中傷投稿で権利が侵害された場合には、相手に対して損害賠償請求をすることができます。しかし、雑談たぬきへの書き込みは匿名でなされることがほとんどで、投稿者が誰であるのかわからないことが大半を占めるでしょう。相手が特定できなければ、損害賠償請求は困難です。そこで、相手に損害賠償請求をするための準備として開示請求を行います。
相手を刑事告訴するため
2つ目の目的は、相手を刑事告訴するためです。刑事告訴とは犯罪の事実を捜査機関に申告し、相手の処罰を求める意思表示です。
誹謗中傷は、名誉毀損罪や侮辱罪などに該当する可能性があります。しかし、これらは被害者からの告訴がないと犯人を起訴できない「親告罪」であり、投稿者をこれらの罪に問うためには、刑事告訴をしなければなりません。刑事告訴が受理されて捜査が進み、刑事裁判の結果有罪判決が下ると相手に刑罰が科されます。
なお、本来は相手を特定しなければ刑事告訴ができないわけではありませんが、諸般の事情から、実務上は刑事告訴に先立って開示請求を行うことが多いです。
誹謗中傷の再発を防止するため
3つ目の目的は、今後の誹謗中傷を防止するためです。これは単独で目的とするというよりも、損害賠償請求や刑事告訴と併せた付随的な目的とすることが多いでしょう。
誹謗中傷をする人は、まさか自分の身元が特定されるとまでは考えておらず、安易に書き込んでいることが少なくありません。開示請求がなされることで、初めてことの重大さに気付くケースも多いでしょう。誹謗中傷に対して法的措置を講じることで、再発防止へとつながります。
雑談たぬきでの誹謗中傷に開示請求が難しい2つのケース
開示請求をしたからといって、必ずしも開示が受けられるわけではありません。次のケースでは、情報の開示を受けることが困難です。
1.権利侵害と評価できない場合
開示請求が認められるためには、権利侵害が明らかであることが必要です。書き込まれた内容が単に気に入らないからといって、開示が認められるわけではありません。たとえば、自分の社会的地位を低下させる内容の書き込みがされている場合には権利侵害があったと判断され、開示が認められる可能性が高いでしょう。
ただし、たとえ社会的地位を低下させる内容の書き込みであったとしても、投稿に公益性や公共性が認められ、かつその内容が真実である場合には開示を受けることは困難です。この場合には、違法性がないこととされるためです。
2.投稿から時間が経ちすぎている場合
いくら悪質な書き込みであったとしても、投稿から時間が経ちすぎていれば、情報の開示を受けることは困難です。なぜなら、投稿のログは永久に保存されるわけではなく、一定期間が経つと消えてしまうためです。
ログの保存期間はプロバイダによって異なるものの、おおむね3ヵ月から6ヵ月程度とされていることが多いでしょう。そのため、開示請求を希望する場合には、できるだけ早く対応を始めなければなりません。
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