(※写真はイメージです/PIXTA)

父と母、どちらかが先立つと、ひとり暮らしをさせるか同居するかなど、残された親を今後どうするか悩む子どもは多いでしょう。高齢者施設への入居という選択肢もあります。その場合、新たな課題となるのが入居にかかる費用です。本記事では石田さん(仮名)の事例とともに、高齢親の老後資金についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

理解不足の商品を契約してしまう高齢親

今回の事例の問題点は、よくわからない商品を「銀行の言うことだから」と安易に契約してしまったことにあります。

 

複雑な仕組みの商品を知識の乏しい人に販売すること自体、売り手側の問題も多いにあるのですが、それを安易に契約してしまった石田さんの判断も問題です。

 

リスクの度合いが自分に合わない・自分が仕組みを理解できない商品は契約しない。――これは、金融商品選びの基本です。馴染みのある金融機関から勧められたらついつい安心してしまいがちですが、金融機関が必ずしも顧客のために商品を勧めてくれるというわけではありません。

 

そのため、リスク性商品を購入するのであれば「長期分散投資」という投資の基本の考え方を理解し、自分のリスクに合った資産構成で投資を行うことが必要です。

 

金融商品は上手に活用すれば資産寿命を延ばし老後を豊かにしてくれるものですが、よくわからないまま勧められた商品を契約してしまうと今回の事例のようになってしまいます。

 

狙われる高齢親の資産

今回は仕組債で資産を失い、サ高住に住み続けることができなくなってしまった石田さんの事例をお伝えしました。仕組債をはじめ、こういった金融機関から勧められた商品をよく理解しないまま契約してしまい、トラブルになるケースは後を絶ちません。

 

特定非営利活動法人 証券・金融商品あっせん相談センターが公表するデータによりますと、近年では年間4,000件以上もの証券会社や銀行などとのトラブルによる相談が報告されています。

 

さらに総務省の家計調査報告(2022年貯蓄の状況)によると、高齢者世帯における貯金額の平均値は2,414万円となっており、高齢者のお金は、詐欺業者や悪徳業者に限らず証券会社や銀行も狙っています。金融リテラシーの低い高齢者に対して、仕組債や外国株式、投資信託といった手数料を稼ぎやすい商品を成約させ手数料収入を得ているのです。

 

NISAのブームでより投資が身近になっている昨今ですが、理解不足のまま投資を行うことはこういった危険もあることを理解し、特に高齢親が知識不十分のまま契約しないよう、家族間で共有することが理想です。しっかり基礎知識を学び、理解してから自分に合ったものを選んでいきましょう。

 

 

小川 洋平

FP相談ねっと

FP

 

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