元外資系エンジニア、現引きこもりゲーマーが陥った老後の落とし穴
佐藤和樹さん(仮名/66歳)は、外資系企業で25年間システム部門マネージャーとして働き、65歳で定年退職しました。「人付き合いは苦手だけど、PCは得意」。そんな"理系人間"の佐藤さんにとって、オンラインゲームは格好の趣味でした。
退職時の状況は、誰が見ても安泰に思えました。退職金2,000万円と月額21万円の年金収入を確保。埼玉県内のタワーマンションのローンも完済し、さらに預貯金1,000万円。「オンラインゲームと堅実な投資で充実した老後を送れる」。技術者らしい計画を立てていました。
定年後、佐藤さんは人気オンラインゲーム「ファイナルウォーリアー」(仮称)の世界に没頭。このゲームには「ギルド」と呼ばれるプレイヤーコミュニティがあり、同じ目的や趣味を持つメンバーが集まってチームを組みます。佐藤さんは「シルバーナイツ」という、主に50代以上のプレイヤーが集まるギルドに所属。休日の夜になると、ボイスチャットで仲間と一緒にゲームを無課金で楽しむのが日課となっていました。
オフ会で出会った投資インフルエンサー
最初の転機は、このギルドメンバーとのオフ会でした。普段は引きこもりがちな佐藤さんでしたが、「半年以上一緒にゲームをしている仲間なら大丈夫だろう」と、東京都内で開催された懇親会への参加を決意。
そこで出会ったのが、高級外車を所有するKさんでした。SNSで1万人以上のフォロワーを持つ投資インフルエンサーだったKさんは、佐藤さんの技術者としての知見に関心を示し、ブロックチェーン技術の将来性について熱心に語り合いました。
「この暗号資産なら、老後の資産を3倍、いや10倍にも増やせる」。実際の取引画面で毎月100万円以上の利益を示されると、佐藤さんは次第に投資への興味を深めていきました。
「専用のプラットフォーム」での取引。最初は10万円からの少額投資。表示される利益に気をよくした佐藤さんは、「いまなら特別レートで投資できる」「あと数日で価格が上がる」という言葉に誘われ、退職金の大半を投じてしまいます。
結果は悲惨でした。出金時の「システムエラー」、Kさんとの連絡途絶。投資額の90%以上が消失し、残った資金も「取り返そう」という焦りから、さらなる投資で失ってしまったのです。
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