「1ドル160円台」をひた走るドル/円だが…過去2年連続で7月に勃発している「米ドルの下落」は、今年も繰り返されるのか【国際金融アナリストの考察】

7月9日〜7月15日の「FX投資戦略」ポイント

「1ドル160円台」をひた走るドル/円だが…過去2年連続で7月に勃発している「米ドルの下落」は、今年も繰り返されるのか【国際金融アナリストの考察】
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週も「1ドル=160円台」を維持した「ドル円」。しかしながら、ここまでの米ドル高・円安の主導役と見られる、投機筋による米ドル買いも、「行き過ぎ」の懸念がかなり強まってきた、とマネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は警戒します。今週の相場の展開予測を、詳しく見ていきましょう。 

2022年7月に米ドル/円が反落した要因

2022年の場合は、インフレ対策の米利上げが3月から始まり、その後本格化しました。このため、米金利の上昇に伴う日米金利差の「米ドル優位・円劣位」の拡大も、7月にかけて続きました。

 

こういったなかで、ポジション調整の米ドル売りが広がっても、7月にかけて、米ドルの「上がり過ぎ」が継続。米ドルの「上がり過ぎ」の修正が本格化し、ポジション調整の米ドル売りが一段と広がるなかで、米ドル/円が140円手前から130円まで急落に向かったのは、米金利上昇が一服したあとからとなったと考えられます(図表5参照)。

 

出所:
[図表5]米ドル/円と日米10年債利回り差(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

さて、以上を踏まえ、足下の状況を見てみましょう。

 

CFTC統計の投機筋による円売り越しは、確認できる最新のデータで17万枚以上に拡大し、ほぼ過去最高規模に達するなど、米ドル買い・円売りの「行き過ぎ」懸念が、極めて強い状況にありそうです(図表6参照)。

 

出所:
[図表6]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

加えて、足下の米ドル/円の120日MAは153.4円程度なので、161円を超えると、それを5%以上も上回る計算となり、米ドル高・円安の「行き過ぎ」懸念が強まりそうです。

 

それゆえ、「米ドル買い・円売り」「米ドル高・円安」といった2つの観点の「行き過ぎ」懸念から、記録的に大きく米ドル買い・円売りに傾斜したポジションの調整は、いつ本格化してもおかしくない状況にありそうです。ということは、3年連続で7月に米ドル/円の反落が起こる可能性は、やはり注目されるのではないでしょうか。

米ドル買いポジションの「行き過ぎ」調整が始まる?

先週発表された米経済指標は、ISM(米供給管理協会)の製造業および非製造業の景気指数や雇用統計など、全般的に予想より弱い結果が目立ちました。その状況下で、年内2回の米利下げを織り込む形で、米金利の低下が広がりました。

 

今週は、CPI(消費者物価指数)など、米インフレ指標発表が予定されています。下記のように、今のところ、PPI(生産者物価指数)の前年比上昇率が前回より上回る予想になっていますが、これらの結果を受け、年内利下げ2回を織り込む米金利の低下の流れが、大きく変わることにならないかが、1つの注目点と考えられます。

 

<11日>6月CPI総合=前回3.3%、予想3.1%
      同コア=前回3.4%、予想3.4%


<12日>6月PPI総合=前回2.2%、予想2.3%
      同コア=前回2.3%、予想2.5%

 

そのうえで、米ドル/円としては、この間の高値、161.9円の更新の有無にも注目したいところです。高値更新となった場合は、さらなる米ドル高・円安を模索する展開が続きそうですが、高値を更新せず、いわゆる「二番天井」の可能性が高まった場合には、これまで見てきたように、極端に大きく米ドル買い・円売りに傾斜した投機筋のポジション調整が、本格化する可能性が高まってもおかしくないといえます。

 

以上を踏まえ、今週の米ドル/円の予想レンジは、158~162.5円中心で想定します。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

注目のセミナー情報

​​【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』

 

【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!

 

​​【事業投資】11月28日(木)開催
故障・老朽化・発電効率低下…放置している太陽光発電所をどうする!?
オムロンの手厚いサポート&最新機種の導入《投資利回り10%》継続を実現!
最後まで取りつくす《残FIT期間》収益最大化計画

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録