過去2年連続で大きく下落している、7月の米ドル/円
ところで、7月の米ドル/円は、過去2年連続で比較的大きく下落しました。2022年は140円手前から130円へ、そして2023年には145円から137円へ(図表3参照)。
このように、過去2年連続で7月に米ドル/円が反落した一因は、まさに投機筋のポジション調整の可能性がありました。
それにしても、米ドル買い・円売りに傾斜したポジションの調整が本格化するのは、どのような状況が考えられるでしょうか? 1つは、米ドル買い・円買いの「行き過ぎ」懸念が強くなった状況が考えられます。そしてもう1つは、米ドル高・円安の「行き過ぎ」懸念が強まった状況でしょう。
この2点について、過去2年の7月の投機筋ポジションをめぐる状況を確認してみましょう。
まず、2023年は6月末時点で、CFTC統計の投機筋の円売り越し(米ドル買い越し)は12万枚弱に達し、当時の感覚としては、米ドル買い・円売りの「行き過ぎ」懸念が強まっていたように思われました。加えて、同じ6月末に、米ドルは120日MA(移動平均線)を7%上回り、米ドル高・円安の「行き過ぎ」懸念も強まっていた可能性があります(図表4参照)。
以上のように、2つの「行き過ぎ」懸念が重なり、2023年7月は米ドル買い・円売りのポジション調整が広がるなかで、145円から137円への米ドル反落が起こったと考えられます。
これに対して、2022年の場合は、少し状況が違いました。CFTC統計の円売り越しは、4~6月にかけて、断続的に10万枚を上回っていましたが、7月には、すでに6万枚程度まで縮小していました。一方で、米ドルは4~7月にかけて、断続的に120日MAを10%上回るといった、米ドル高・円安の「行き過ぎ」懸念がかなり強い状況が続いていました。
以上から考えられるのは、2022年においては、6月にかけて、米ドルの「買われ過ぎ」「上がり過ぎ」といった、2つの「行き過ぎ」懸念が継続し、「買われ過ぎ」を修正するポジション調整が、6月にかけて広がり始めたにもかかわらず、米ドルが大きく下がらない状況が続いたということです。その原因とは、一体何だったのでしょうか?
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