(※写真はイメージです/PIXTA)

相続財産は知っているものの、「みなし相続財産」についてはよく知らないという人も多いでしょう。みなし相続財産とは、相続および遺贈に関連する民法上の相続財産ではなく、被相続人の死亡により受け取ることになる相続税法上の財産のことです。本稿では、みなし相続財産に該当する財産の種類や非課税枠の活用方法、その他留意点などについて解説します。

相続財産と何が違う?

みなし相続財産とは民法上の相続財産(例:不動産、預貯金、株式等)ではないものの、相続税を計算する際、相続財産とみなして課税する相続税法上の財産を指します。

 

被相続人が以前から所有していた財産ではなく、相続発生後に相続人が受け取る「死亡保険金」「死亡退職金」等がみなし相続財産に該当します。相続税の計算の際は、これらの財産も含めなければなりません。

 

みなし相続財産が相続税の課税対象となる理由は、課税の公平を図るためです。

 

例えば、被相続人が以前から生命保険会社と保険契約を締結し、死亡後、受取人(相続人)に渡る死亡保険金は民法上の相続財産の対象外です。しかし、それを理由に課税しないと「相続人の相続税負担を回避するため、全財産を死亡保険金にかえてしまおう」と考え、実行する人達が出てくる可能性もあります。

 

それでは課税の公平性は保てません。そのため、相続・遺贈と同様の経済効果をもたらす財産は、相続財産とみなして相続税を課税するのです。

みなし相続財産の種類

それではどんな財産がみなし相続財産になるのか、具体的に見ていきましょう。

 

・死亡保険金(生命保険金):被相続人が死亡保険(生命保険)を契約し、死亡の際に受取人へ下りる保険金

 

・定期金:被相続人が掛金を払い、受取人が相続人としている個人年金等

 

・死亡退職金:会社等に長年勤務してきた被相続人へ支給されるはずの退職金を、遺族等が受け取る制度

 

・弔慰金:基本的に非課税だが、その金額が業務上での死亡なら普通給与の3年分を超えた分、業務外での死亡なら普通給与の半年分を超えた分が、死亡退職金とみなされ課税対象

 

・一定期間の生前贈与(暦年贈与):被相続人が死亡前3年以内(2024年1月1日以降の暦年贈与は7年)の贈与

 

・債務の免除:遺言で免除された債務

 

・低額の譲受:遺言で相続人が本来の時価より、大幅に低い価格で取得した財産

 

その他、公共法人等から受ける利益や、信託銀行に遺産を預け管理・運用する信託受益権も、みなし相続財産となる可能性があります。

 

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