(※写真はイメージです/PIXTA)

相続財産は知っているものの、「みなし相続財産」についてはよく知らないという人も多いでしょう。みなし相続財産とは、相続および遺贈に関連する民法上の相続財産ではなく、被相続人の死亡により受け取ることになる相続税法上の財産のことです。本稿では、みなし相続財産に該当する財産の種類や非課税枠の活用方法、その他留意点などについて解説します。

みなし相続財産の「非課税枠の範囲」と計算式

死亡保険金(生命保険金)が支払われたり、死亡退職金が支給されたりした場合、そのまま被相続人の遺産総額に加えられるわけではありません。

 

死亡保険金(生命保険金)・死亡退職金には「非課税枠」が用意され、この非課税枠から控除された金額だけが相続税の対象です。非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で算定します。

 

例えば、死亡保険金1,600万円で法定相続人に配偶者と子1人がいるケースだと

 

500万円×法定相続人2人=非課税枠1,000万円

 

死亡退職金1,600万円-非課税枠1,000万円=600万円

 

こちらのケースでは、支払われた死亡保険金は600万円のみ相続財産に含まれます。

 

ただし、死亡保険金(生命保険金)の場合、相続人または受遺者(遺言で財産を受け取る人)以外が保険金を得ると、非課税枠の対象外になります。

みなし相続財産がある場合の相続税の“具体的な計算例”

ここでは、相続開始時にみなし相続財産があった場合、どのように相続税を算定するのか、具体例をあげて説明します。

みなし相続財産を含めた遺産、相続人

被相続人が2023年12月15日に死亡し、法定相続人には配偶者A、子B・Cの3人がいます。

 

被相続人には民法上の相続財産として不動産5,000万円、預金2,000万円があり、借金は無く、葬儀費用は200万円かかりました。

 

また、次のようなみなし財産が判明しています。

 

・死亡保険金(生命保険金):1,700万円(受取人は配偶者)

 

・被相続人の死亡前3年以内の生前贈与(暦年贈与):300万円

 

こちらの例を踏まえ、相続税課税対象額を計算していきます。

死亡保険金(生命保険金)の算定

まず死亡保険金(生命保険金)から非課税枠を控除します。

 

法定相続人は配偶者A、子B・Cの3人なので非課税枠は、

 

500万円×法定相続人3人=1,500万円

 

死亡保険金(生命保険金)1,700万円-非課税枠1,500万円=200万円

 

200万円と被相続人の死亡前3年以内の生前贈与分300万円を合わせ、民法上の相談財産に加算します。

民法上の相談財産に加算し計算

民法上の相談財産として不動産5,000万円および預金2,000万円があるので、

 

みなし相続財産500万円+不動産5,000万円+預金2,000万円=7,500万円

 

合算した7,500万円から葬儀費用200万円を控除します。

 

7,500万円-葬儀費用200万円=7,300万円

 

課税価格の合計額は7,300万円となりますが、更に相続税の基礎控除が利用できます。

 

相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

 

法定相続人は3人いるので、

 

3,000万円+600万円×法定相続人3人=4,800万円

 

7,300万円-基礎控除4,800万円=2,500万円

 

相続税課税対象額は2,500万円となります。

 

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