3.金融政策
<現状>
●FRBは、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(フェデラルファンド〔FF〕金利5.25~5.50%)を7会合連続で据え置きました。また、FOMC参加者の政策金利見通し(ドットチャート)で年内3回を見込んでいた利下げを1回に修正しました。
●ECBは6月の理事会で、4年9ヵ月ぶりに政策金利の引き下げ(預金ファシリティ金利4.00%→3.75%など)を決めました。ラガルド総裁は記者会見で、今後の利下げペースについては「データ次第」としてガイダンスを示しませんでした。
●日銀は6月の金融政策決定会合で、現状の政策金利(無担保コール翌日物金利0.0~0.1%)を維持しました。また、長期国債の買い入れを減額する方針を決め、次回7月会合で今後1~2年間の具体的な減額ペースを発表することを明らかにしました。
<見通し>
●FRBは、粘着質のインフレ動向をにらみながら、当面現状の政策金利を維持するとみられます。先行きは、インフレの鈍化に伴う実質金利上昇を回避するため、24年9月に利下げを開始し、年内の利下げ回数(1回=0.25%)は2回になると想定しています。
●ECBは、欧州景気が持ち直すなか、インフレが落ち着いていることから、9月の理事会で追加利下げを決めると予想します。ECBは賃金、インフレのデータを確認しながら、四半期に1回程度のペースで0.25%の利下げを行うと想定しています。
●日銀は、景気が力強さを欠いているため、3月に大幅に修正した金融政策を当面維持するとみられます。ただし、円安圧力が続くなか、先行きは追加利上げを実施するとみています。政策金利は、24年10月に0.25%、25年4月に0.50%への引き上げを想定しています。
4.債券
<現状>
●米国の10年国債利回り(長期金利)は、FRBが政策金利見通しで年内3回を見込んでいた利下げを1回に修正したものの、米CPIの伸びが鈍化したことなどを受けて、年後半のFRBによる利下げ観測が強まり、低下しました。
●ドイツの長期金利は、ECBが6月会合で政策金利の引き下げを決めたことや、欧州政治の不透明感が高まったことを受けて低下しました。
●日本の長期金利は月中旬まで低下したものの、円安を背景とした日銀の金融政策正常化に対する思惑から月末にかけて上昇し、ほぼ横ばいでした。
●米国の投資適格社債については、欧州の政治不安が意識され、社債スプレッド(国債と社債の利回り差)がやや拡大しました。
<見通し>
●米国の長期金利は、当面もみ合いを続けた後、緩やかに低下すると想定しています。堅調な雇用情勢やインフレの高止まりを受けて、利下げ開始時期の先送りが警戒されるものの、年後半にFRBによる利下げが実施されると見込んでおり、徐々にレンジを切り下げていく展開を予想します。
●欧州の長期金利は、ECBが今後四半期に一度のペースで追加利下げを行うと想定していることから、緩やかに低下する展開を予想します。
●日本の長期金利は、円安圧力が続いていることから、日銀の追加利上げや国債買い入れ減額が警戒され、やや上昇すると予想します。