2.景気動向
<現状>
●米国の1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.4%となり、前期の同+3.4%から減速しました。輸入の増加が下押し要因となりました。
●欧州(ユーロ圏)の1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.3%と、インフレの落ち着きを背景に2四半期ぶりにプラス成長となりました。
●日本の1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率▲2.9%と、マイナス成長でした。品質不正問題による自動車の生産停止の影響を受けました。
●中国の1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.3%と、前期から僅かに加速しました。生産や輸出の増加が景気の押し上げ要因となりました。
●豪州の1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+1.1%と、前期から減速しました。物価高で個人消費が伸び悩み、前期比は+0.1%でした。
<見通し>
●米国は、大幅な利上げに伴う景気抑制効果に加え、コロナショック後の消費増加の一巡、公的部門の鈍化などから、景気が緩やかに減速すると想定しています。個人消費が底堅いことや企業収益が好調なことから、景気の急減速は避けられ、軟着陸(ソフトランディング)に至るとみています。
●欧州は、これまでの金融引き締めによる景気抑制効果により、低成長が続くとみられます。ただし、インフレの鈍化による購買力の回復に加えて、労働力不足に伴う雇用増、EU復興基金などの財政支援が景気を支えるため、腰折れはしないとみています。
●日本は、インフレ圧力の継続により個人消費が力強さを欠くものの、賃金の上昇、経済対策(定額減税・給付金)、インバウンド消費の増加、底堅い海外景気や堅調な企業収益を背景に持ち直し、緩やかな成長軌道を辿る見通しです。
●中国は、不動産市場の低迷や海外景気の減速で需要不足が続き、若年層の雇用悪化の影響などから個人消費も力強さを欠くことから、景気の回復ペースが鈍化するとみられます。ただし、政府の住宅対策や拡張財政により急激な減速は避けられる見通しです。
●豪州は、中国景気の減速に加え、利上げの累積効果や、粘着質なインフレで家計の実質可処分所得が圧迫されることから個人消費が力強さを欠き、当面景気が緩やかに減速するとみられます。ただし、年後半のインフレ鈍化や利下げ実施により、25年にかけては徐々に持ち直すとみています。