1.概観
【株式】
6月の主要国の株式市場は高安まちまちとなりました。米国株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利見通しで利下げ予想を年内1回に引き下げたものの、米消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化などから長期金利が低下したことを好感し、半導体関連銘柄がけん引して続伸しました。一方、欧州の株式市場は、フランスや英国における政治の不透明感が警戒され、ドイツDAX指数や英FTSE指数が反落しました。日本の株式市場は、狭いレンジでのもみ合いが続きましたが、米国株が最高値を更新するなか、月末にかけて買いが入り上昇しました。中国株式市場は、半導体分野を巡る米中対立激化懸念や人民元安に伴う中国からの資金流出への懸念から、上海総合指数、香港ハンセン指数ともに下落しました。
【債券】
米国の10年国債利回り(長期金利)は、FRBが政策金利見通しで年内3回を見込んでいた利下げを1回に修正したものの、米CPIの伸び鈍化などから低下しました。ドイツの長期金利は、欧州中央銀行(ECB)が政策金利の引き下げを決めたことや、欧州政治の不透明感が高まったことから低下しました。日本の長期金利は月中旬まで低下したものの、円安進行を背景とした日銀の金融政策正常化に対する思惑から月末にかけて上昇し、ほぼ横ばいでした。
【為替】
円の対米ドルレートは、日銀が国債買い入れの減額を先送りしたことなどからじり安となり、37年半ぶりの円安水準となる160円台後半に下落しました。
【商品】
原油価格は、エネルギー需要が増加するとの見方に加え、中東の地政学リスクが原油供給に影響を与える可能性が意識されたことから反発しました。