新規事業開発はどのように進めればよいのでしょうか。新規事業開発の進め方は、会社によって大きく3タイプにわけられるそうで……。本記事では、中野正也氏の著書『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)より一部を抜粋・再編集し、自社に合った新規事業開発の進め方を紐解いていきます。
2.「全社員参加により社員が提案・推進する」タイプ
次に、「全社員参加により社員が提案・推進する」タイプの新規事業です。
先述したリクルート社の提案制度※がこれにあたります。全社員を対象として、新規事業の提案制度やアイデアコンテストなどを実施する会社は多いかもしれません。しかし、それらの制度の多くは、イベント化していたり、主目的が社内の活性化に置かれたりしていて、提案されたアイデアが新規事業の立ち上げにつながらないことも多いように思われます。社員から集まった提案のなかから優秀なアイデアが選定され、表彰され、社内報などで発表されるものの、部分的な取り組みにとどまっているのです。
※リクルートグループの全従業員を対象にした「Ring」という新規事業の提案制度があり、ここから 『カーセンサー』『ゼクシィ』『ホットペッパー』『スタディサプリ』 などが誕生したのです。Ringに集まったアイデアのうち、事業化フェーズに進むのは2%。そのうち黒字化に到達するのは15%ともいわれています。2%×15%=0.3%で、成功確率はまさに千三つです。
このようなことが続くと、新規事業の提案を考える場合、表面的な新規性や革新性に重きが置かれ、実際に事業化する場合にどのようなことが生じるのか、それにはどのようにして対応できるのか、などについての考慮が十分ではなくなる懸念も出てくるでしょう。
これに対して、企業の業態そのものの特性から新規事業を次々と立ち上げることで発展してきている企業もあります。このような企業では、新規事業を生み出したり、育てたりすることに、意識や関心をもった社員が多く、会社全体が常に新規事業を考え議論しており、新規事業を立ち上げる経験知を多くもっているのです。
このような企業は、一部のITサービス企業やR&Dを事業の基盤とする企業に見られます。これらの企業の場合には、事業特性や企業文化などを反映した独自の新規事業開発のプロセスを有しているようです。
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株式会社グローバル事業開発研究所 代表取締役
1955年埼玉県生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。
調査・コンサルティング企業にて、新規事業開発戦略策定、中期経営計画策定などに関する経営コンサルティングのほか、エネルギー政策に関する調査研究、技術評価、海外市場調査、国際協力プロジェクトなどに従事。2012年に株式会社グローバル事業開発研究所を設立し、代表取締役に就任。企業の新規事業開発の評価・支援、海外展開支援などの調査・コンサルティングに従事。また株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツの取締役として、中小企業の海外展開支援などを実施している。
中小企業診断士、日本政策金融公庫「農業経営アドバイザー」試験合格者。一般財団法人省エネルギーセンター「ビルの省エネエキスパート」。趣味は園芸、海釣り、旅行、囲碁将棋観戦、スポーツ観戦など。
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