「低価格」がウリの中小企業…自社の強みをもっと魅力的に表現する方法【中小企業診断士が解説】

「低価格」がウリの中小企業…自社の強みをもっと魅力的に表現する方法【中小企業診断士が解説】

中小企業が新規事業を開発する際「自社の価値」を改めて定義することは重要です。しかし実際、改めて定義しようとすると意外と難しいでしょう。そこで活用されるのがCFTチャートです。本記事では、中野正也氏の著書『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)より一部を抜粋・再編集し、新規事業開発のためのCFTチャート活用法について解説します。

金属部品メーカーA社のケース

下記図表は、自動車や建設機械などのミッション(変速機)の一部となる金属部品、つまり変速機部品を製造している中小企業A社のCFTチャートです。

 

※顧客・機能・技術の3点を頂点とした三角形型のチャートのこと。新規事業開発の担当者が議論を重ね、自社ならではの他社とは一味違う新規事業を考えるためのキャンバスとなる。

 

金属部品メーカーのCFTチャート
[図表]金属部品メーカーA社のCFTチャート

 

C(顧客)は、いうまでもなく自動車メーカーや建設機械メーカーに変速機を納入する、「変速機メーカー」です。

 

F(顧客に提供する機能)は、何でしょうか。顧客から見た場合、金属加工をおこなっている中小企業は多くあります。F(機能)は、それらの多くの競合企業のなかで、「自社が選ばれて受注できているのはなぜか」「自社はどのような点で、競合他社に比べて評価されているのか」を端的に示すものです。A社の場合は、F(機能)として「ミクロンレベルの加工精度」といった価値を顧客に提供しています。競合企業のなかでミクロンレベルの加工をできる企業がなく、これができるために他社ではなく自社が受注できているからです。

 

F(機能)を実現するための技術を示しているのが、CFTチャートの最後の要素であるT(技術)です。A社の場合のT(技術)は、「金属精密加工技術」としました。高度な機械を保有し、それを用いて精密加工がおこなえるノウハウや技術者を保有していることを、まとめてこのようにあらわしました。

自社のCFTチャートを作るコツ

実際に自社の事業のCFTチャートをつくろうとすると、意外にむずかしいものです。とくにF(機能)とT(技術)がむずかしいのではないでしょうか?

 

C(顧客)、F(機能)、T(技術)は、究極的にこれと思われるものを、簡潔かつ端的に表現することが必要です。A社の例では、顧客に提供し、それによって顧客が自社を選んでいる機能として、「ミクロンレベルの加工精度」としました。

 

実際にはそれだけでなく、納期を守っている、受注単価を抑えている、などといったこともあるでしょう。ほかにも、設計など早期の段階から顧客と情報共有し、顧客と一緒に加工方法についてきめ細かく打ち合わせをする、などと顧客に密着した対応もしているかもしれません。それらのなかから、自社の事業の場合には、何が発注先の究極的な決定要因となっているのかについて、じっくり考えることが重要です。

 

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※本連載は、中野正也氏の著書『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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