「富士フイルム」の秘密…ライバル「コダック」に打ち勝ち、発展し続けたワケ【経営コンサルが解説】

「富士フイルム」の秘密…ライバル「コダック」に打ち勝ち、発展し続けたワケ【経営コンサルが解説】

企業の命運がかかる「新規事業開発」。ホンダ、富士フイルム、リクルートなどの有名企業は、どのような戦略で事業を展開してきたのでしょうか? 本記事では、中野正也氏の著書『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)より一部を抜粋・再編集し、有名企業の新規事業開発の事例を紐解いていきます。

有名企業の新規事業開発

新規事業とはどのようなものか、ここでいくつかの有名企業の例を見ていきましょう。新規事業開発は、企業にとって重要な経営戦略であり、その取り組みは企業秘密です。

 

とくに、「企業としてどのような新規事業をおこなっていくのか」「なぜその新規事業を選んだのか」といった考え方については、なかなか公開されることはありません。そのため、新規事業開発の方向性や戦略については、私があとから見て「こうではないか」と解釈したものになりますことをご了承ください。

 

ホンダ…二輪車から四輪車へ

実は新規事業の事例は、世の中のいたるところにあります。本田技研工業は1948年に、浜松市で本田宗一郎氏によって創業され、翌年に二輪車の製造を開始しました。1963年に四輪車に進出し、その後、子会社で小型ビジネスジェット機の開発と製造販売をおこなっています。

 

二輪車から四輪車へ、さらに小型ビジネスジェットへと展開していった軸にあるものは、「移動の楽しさ」や「快適な移動」を追及していったから、といえるのではないでしょうか。

 

パナソニック…社会の変化に対応した商品開発

電機機器の分野は、さまざまな新規事業の集合体ともいえるでしょう。パナソニックは1918年に、アタッチメントプラグや2灯用差し込みプラグの製造販売からスタートしました。

 

その後、ランプ・アイロン・電池・ラジオ・テレビと、次々と新規事業に展開していきました。今では家庭向け製品だけでなく、自動車電装品、電池、産業向けデバイスなど、社会のさまざまな分野で事業を展開しています。

 

富士フイルム…既存の技術力を生かして発展

2006年に社名変更した富士フイルムは、もともと富士写真フイルムという社名でした。

 

写真用フィルムから映画用フィルム、X線用フィルムなど、写真感光材メーカーとして事業を拡大し発展していきました。その後、カメラ・コピー機・印刷用製版材料など、画像関連の機器分野や産業材などの新規事業に展開しました。

 

デジタルカメラなどの普及から写真用フィルムの需要が減少しましたが、フィルムなどの既存事業で培ってきた技術を生かし、ヘルスケア(医薬品、診断装置など)、マテリアル(電子材料など)、イメージング(デジタルカメラ、監視カメラなど)と、3つの事業領域で幅広く事業展開しています。かつて写真用フィルム業界のトップ企業で富士フイルムのライバルだったコダックは、世界に先がけてデジタルカメラを開発していましたが、2012年に倒産しました。

 

富士フイルムは写真用フィルムのライフサイクルが終息するなかで、それに代わる次の世代の事業の柱を創出したことで新たな企業として発展しているといえます。

 

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※本連載は、中野正也氏の著書『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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