中華料理店B社のケース
中華料理店B社の新規事業開発について見ていきましょう。
B社が運営している中華料理店のCFTチャート※を、図表1に示しました。中華料理店B社は、やや郊外の駅近にあり、近隣の住民でにぎわっています。B社としても「それらの顧客を大切にしたい」と考えており、C(顧客)は「近隣の住民」となります。
中華料理店はほかにも多くありそうですし、食事をするのであれば、ファミリーレストランなどの選択肢もあるでしょう。それらの競合店のなかで、中華料理店B社は、なぜ近隣の住民や会社員で繁盛しているのでしょうか。これを考えていきます。
中華料理店B社の「CFT」とは
繁盛している中華料理店が顧客に提供している機能や、顧客から見た価値には、店によってさまざまなものがあるでしょう。
常連が多くて居心地がいい、駅のすぐ近くで便利、メニューが多くていろいろな料理が味わえる、注文してからの待ち時間が少ない、店がキレイで雰囲気がいい、などさまざまな魅力が考えられます。
それらのなかでも、中華料理店B社の場合は、とくに餃子の評判がよく、来店客のほとんどが注文するとのことです。餃子の餡からあふれる肉汁や、特注してつくった皮の弾力性は、他店を圧倒的にしのぐとの評判です。この場合、B社のF(機能)は「おいしい餃子の提供」となります。もちろん、ほかの料理も十分においしく、競合店に劣るわけではありません。店の雰囲気も悪くありません。
それらのB社のさまざまな魅力のなかで、競合店ではなく、「あの店に行きたい」と思わせるものは何か。中華料理店B社を、競合店と異なる魅力のある存在にしているものは何か。それが餃子であり、B社の「中華料理店事業」のF(機能)といえます。
T(技術)はF(機能)を提供するための「技術」ですので、「餃子の調理ノウハウ」とあらわせます。T(技術)が「餃子の餡のレシピ」や「皮のつくり方」など、B社がもつさまざまな経験・技術・ノウハウを集約したものです。
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