タイにおける財政赤字の実態
パオプーム氏は「政府はNFSの運営に関連する法律や規制を変更する必要があります」と述べた。
政府のアプローチは、多くの経済学者による提言とは異なっている。地元の経済学者や世界銀行の経済学者の多くは、以前から税制改革を求めてきた。例えば、付加価値税を7%から10%に引き上げる、土地や不動産、相続に対する税率を引き上げるなどである。
しかし、増税は国民に不評であり、政権を担う政治家たちは、この不評な措置によって次の選挙で政権を失うことにつながるのではないかと心配している。タイはここ数年財政赤字が続いており、税収は国内総生産(GDP)の15~16%程度にとどまる一方、社会福祉のコストは増加している。国は税収を増やす方法を早急に見つける必要がある。
現在、同国は消費から得られる税収に頼っており、富裕層に対する税収ははるかに低い。例えば、付加価値税の税収は9,157億バーツ(約4兆150億8,000万円)と見積もられているのに対し、相続税の税収は2024年度で約8億バーツ(約35億円)である。
さらに、個人所得税を毎年支払っている人はほとんどおらず、その税収額は2024年度で4,148億バーツ(約1兆8,191億円)と見積もられている。
ギャンブルの助長?
公営宝くじは税金として検討されているが、多くの人々は、この新しいスキームがギャンブルを助長するのではないかと、社会的影響を懸念している。
パオプーム氏はこの制度を擁護し、ギャンブルを助長するのではないかという懸念を否定した。「この制度は、リスクを取るのが好きなタイ人の典型的な行動に合っています」と同氏は話した。
失敗する可能性
批評家たちはこの年金宝くじ制度に懐疑的だ。
タイ商工会議所大学デジタル経済・投資・貿易研究センターのアヌソーン・タマジャイ所長は、「タイの家計負債は非常に高く、この計画が成功する可能性は低い」と述べた。
現在の家計負債はGDPの91%だ。 ほとんどの人々、特に非正規部門で働く人たちは借金で生活しているため、老後のための貯蓄に十分な収入がない。
アヌソーン氏は政府に対し、ポピュリズム的な政策に頼るのではなく、経済と社会福祉制度を改革するよう求めた。同氏は、社会福祉制度をあらゆる年齢層に適したものにすることが重要だと述べた。「強制貯蓄は政府の財政方針に沿ったものであるべきです。政府は社会保障法第40条に基づく労働者保険の加入者層の拡大に努めるべきです」(アヌソーン氏)。
「政府は、すべての人々の幸福を保障するベーシックインカム制度を開発する必要があります。労働者は社会保障制度に参加する権利を持ち、労働組合を組織する権利を持つべきです。また、人々が平等に天然資源にアクセスできるようにすべきです」と同氏は付け加えた。
文=Thai PBS World ビジネスデスク
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