(写真はイメージです/PIXTA)

IMFによって実施された日本の金融セクター評価プログラムの最終報告が開示されました。IMFによる日本の金融規制体制に対する評価・課題と、評価に対する金融庁の反応について、ニッセイ基礎研究所の植竹康夫氏が報告します。

2―FSAPの概要

1|FSAPの位置づけ

IMFは2010年に、IMFの加盟国のうち世界の金融システム上重要な金融部門を有する25の国・地域*3について、FSAPによる金融安定性評価を受けることを義務付けている。日本もこのうちの一国であり、今回のFSAPはこの一環である。

 

個別の金融機関の財務悪化・破綻が他の金融機関や金融システム全体に波及するリスクをシステミック・リスクという。FSAPでは日本における各セクター(銀行・保険・投資ファンド(証券)等)ごとの不測の事態に対する強靭性と、システミック・リスクに波及する可能性およびその程度について評価された。

 

*3:現在47の国・地域

2|評価の観点と種類について

FSAPがどのような観点で実施されたのか大枠を記載する。

 

○セクター毎の評価

セクター毎に以下のようなリスクの評価がなされた。

 

 

これらの評価は、将来の金利状況や経済状況が悪化したという架空の状態を「ストレス・シナリオ*4」として想定し、そのストレス・シナリオ下における財務状況をシミュレーションすることで、ストレスに対する支払余力および流動性資産の十分性についての評価を実施するものである*5

 

*4:厳しいがもっともらしい(severe yet plausible)基準を満たしたもの。

*5:ストレス・シナリオより厳しい、極端なストレスを与えた場合の感応度分析も併せて実施された。

 

○相互関連性の評価

金融機関は相互に債権債務関係を有しているため、個別の金融機関へのショックは金融ネットワークを通じて他の金融機関に波及していく懸念がある(システミック・リスク)。各セクター間の債権債務情報*6から、他のセクターにどれほどの影響があるのか検証・評価が行われた。

 

*6:貸出金、短期資金供給、株式、債券、銀行の未引出融資枠など

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2024年6月18日に公開したレポートを転載したものです。

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