年金月38万円〈60代夫婦〉悠々自適な老後生活のはずが一転、「終わりの見えない節約生活」が続く切実理由…「ハワイ旅行は…そうね、来世生まれ変われたら」

年金月38万円〈60代夫婦〉悠々自適な老後生活のはずが一転、「終わりの見えない節約生活」が続く切実理由…「ハワイ旅行は…そうね、来世生まれ変われたら」
(※写真はイメージです/PIXTA)

必死に働き、子どもを育て、老後資金も蓄え、ようやく迎える定年。仕事からも解放され、頑張ったごほうびに旅行でも…というささやかな願いはだれもが抱くのではないだろうか。しかし、現実はなかなか厳しいようだ。実情を見ていく。

節約しまくって貯めた老後資金、パッと気分よく使えない理由

6月とは思えない暑さが続く今日この頃だが、止まらぬ円安で一般庶民の懐は涼しくなる一方だ。バブル時代を享受し、かつては海外旅行に行きまくっていたシニアたちも、この状況では、海外に繰り出す気力も資金力もない模様。

 

60代の佐藤さん夫婦(仮名)は嘆く。

 

「うちは共働きでして、年金は夫婦合わせて月38万円。自宅もあり、経済的には困っていません。ですが、気持ちが楽になることはありません…」

 

と晴れない顔だ。

 

「93歳の夫の母を在宅介護しています」

 

夫が定年退職してすぐ、高齢の夫両親が相次いで要介護に。夫は二男だが、70歳の長男は配偶者をすでに亡くしており、賃貸物件にひとり暮らし。とても高齢の両親の介護に手が回らない。そのため、二男夫婦に介護が回ってきたのである。

 

「2年前、90歳だった父親を見送りました。いまは母親を見ています」

 

夫の母親には認知症の兆しもなく、受け答えはしっかりしている。だが、年齢相応に体は弱っており、生活全般に介助が必要だ。

 

「われわれはまだ体力があり、頑張って貯めたお金もあります。老人ホームという選択肢もあるのだと思いますが、母はいま90歳。正直、いつ何があるかわかりません。この状態で老人ホームに入れるというのは、あまりにも親不孝なのではないかと…。」

 

国立社会保障・人口問題研究所の『第7回全国家庭動向調査 報告書』によると、妻の年齢が 70歳未満となる世帯を対象として、親と同居している世帯の割合は15.6%。また夫、または妻の母親と同居している割合は13.3%。

 

この調査は5年ごとに実施されているが、親との同居割合の推移をみると「2008年」に26.6%、「2013年」に31.5%、「2018年」に19.8%、「2022年」に15.6%と低下傾向ではあるが、それでも現状、7世帯に1世帯程度は親と同居する世帯があるのだ。

 

また、年齢別に親との同居割合をみると「20代以下」が7.9%、「30代」が9.3%、「40代」が14.4%、「50代」が18.4%、「60代」が20.5%と、年齢が上がるにつれて親との同居割合は増えていく。

 

理由はやはり「親の介護問題」である。

 

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