副業で始めたWeb広告のコンサル会社
筆者はもともと消費者金融に勤めていました。現在は公認会計士・税理士・証券アナリスト・宅建士・ファイナンシャルプランナーとして活動しています。ここでは、税理士をしていたら避けては通れない税務調査についてお話します。
これまでに法人・個人併せて、20回ほど担当した税務調査の経験のなかで、特に記憶に残っている実例を紹介しようと思います。
今回の税務調査は交渉が難しかったわけではないですが、どこまでが「経費」として認められたかという点において、非常に参考になった案件でした。
代表のAさんは、割とメディアにも多く出る個人事業主のライターさん。年齢は40代、年収は5,000万円ほどです。Aさんには、主な収入源であるライターのほかにもWeb広告のコンサルタントとしての副収入もありました。そして、副収入のほうは法人を設立して、売上を計上することにしたのです。
副業用の法人は、会計判断が難しい
実は、副業用に法人を設立する人は結構多いのです。
たとえば、会社勤めしている人が自分のスキルを活かして副業をするとします。個人事業主として、売上を「事業所得」として計上してしまうと、勤務先の「給与所得」と合算した所得税がかかることになります。日本の所得税は「累進課税」制度を採用してるため、高い税率がかかることになるのです。
また、住民税の問題から、「事業所得」を個人で申告したくないという人もいます。「事業所得」を個人に計上すると、住民税にも影響をおよぼします。原則的に、住民税は会社の給与から天引きをする「特別徴収」が採用されています。これにより会社勤務の人の住民税は、いったん会社に通知書が来たあと給与から天引きされます。つまり、住民税の金額は会社の目に触れられる状況にあるということです。
よって、会社の給料から想定できる住民税の金額を著しく超える住民税の金額であれば、会社の人事部が副業の「事業所得」を疑う可能性もあります。それを回避するために、副業の収入を設立した会社で計上するという人が多いのです。
ただ、税理士として判断が難しいのが、「経費」の計上。まず、副業用の会社にはほとんどの場合、「給与」がありません。というのも、もともと個人でやるかどうかの判断をしているくらいなので、自分の片手間の範囲でやる、というケースが多いのです。
次に、経費の領収書が大量にある点です。そもそも片手間の副業なので、自身の給与もなければ従業員の給与もありません。その場合、たくさんの飲食、タクシーの領収書が送られてきます。もちろん事業に関連する経費なのでしょうが、それを裏付ける証拠もない。
つまり、本当に事業に関する経費かどうかわからない限り、事業経費であると主張する経営者の言うことを信じるしかないのです。この場合、経営者の言うことを信じて、事業経費として交際費や旅費交通費として計上することになります。
\「税務調査」関連セミナー/
税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法>>12/10開催
富裕層だけが知っている資産防衛術のトレンドをお届け!
>>カメハメハ倶楽部<<