年収5,000万円の40代フリーライター、高級ブランドバッグを経費計上→顧問税理士「これもプライベートだろうな」…〈税務調査〉の思いがけない結果に衝撃【税理士の実体験】

鄭 英哲
年収5,000万円の40代フリーライター、高級ブランドバッグを経費計上→顧問税理士「これもプライベートだろうな」…〈税務調査〉の思いがけない結果に衝撃【税理士の実体験】
(※写真はイメージです/PIXTA)

個人事業主のもとへやってくる税務調査。度々論点となるのが「経費」です。税務調査で指摘され、多額の追徴課税に……そういった事態にならないためには? 本記事では、Aさんの事例とともに、税務調査の実態について鄭英哲税理士が解説します。

コロナ明けにやってきた税務調査

Aさんの副業用の会社にもコロナが明けたくらいのタイミングで税務調査が入りました。推測の域を出ませんが、税務調査の対象になった理由は、特に狙い撃ちにされた感じではなく、「単なる順番」ではないかと考えられます。しいて言えば、「中間」で納付した消費税の一部が、期末決算時にいくらか還付になったことで、目立つ対象になってしまったかなというくらいです。

 

税務調査の概要は、よくある税務調査と比較して、

 

・対象期間:3年→普通の期間
・調査の日程:2日間→やや短い

 

という内容ではありました。もちろん、当日の朝、急に会社やAさん宅に突撃されたわけでもなく、顧問税理士である筆者のもとへ事前連絡もありました。

 

問題となった「大量の経費の領収書」

結論、計上した経費が認められるかどうかは、税務署次第になります。税務調査が入ったときに求められる資料は以下のとおりです。

 

1.総勘定元帳

たとえば、旅費交通費、交際費、会議費、消耗品費といった勘定科目別の一覧が記載されています。

 

2.会社の預金通帳

提出を求められますが、税務署の調査力であれば事前に調査してきています。これは税務署職員から直接言われたことではないので、事実として書きます。

 

参考までにお伝えしますが、とある税務調査で実際にあった話です。

 

ある会社の預金通帳から、代表者やその家族の口座にいくつかの出金がありました。会社の通帳には、「振込」と書かれただけで、出金先は書いてありません。それのすべてを税務署職員はすでに言い当てました。

 

つまり、通帳の入出金情報について、税務署はすでに調べてきていると思ったほうがいいでしょう。

税務調査で聞かれること

話を戻します。その後、提出した旅費交通費や交際費といった総勘定元帳のなかから、税務署が気になる取引を抽出し、該当する取引の領収書類をこちらで準備するという流れになります。もしくは、取引のあった領収書類を税務署に全部持って帰るからいつまでに準備するようにいわれるケースも。

 

会社の規模にもよりますが、10日~14日後に疑念の対象になっている取引の一覧が送られてきて、それらの内容についての回答を求められます。たとえば、

 

・取引の目的

・会食であれば誰と行ったか

・高額な洋服であれば、なんのための購入なのか


などを聞かれます。もちろん、回答するAさんは、事業と関連している旨を主張します。ただ、その理由が、本当に事業に関連しているのか、経費処理を認めてもらうためのこじつけなのか、税理士としては知る由もありません。税理士の立場としては、これもあれも、プライベートで使った経費だろうなとは内心思うわけですが。とはいえ、納税者である経営者の主張ですから、Aさんに聞いた内容を税務署職員に伝えます。この時点で、税務署から追加資料を求められることはありません。

 

あとは、税務署からの連絡を待つだけ。

 

その後の連絡はほとんどの場合、「この経費だけは認められない。これについて承認してくれれば税務調査は終わりにしたいです」といった内容になります。

 

 

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