性格の不一致が離婚原因となるケース
それでは、性格の不一致は、前頁5つの離婚原因のうち、どれに該当するといえるのでしょうか。
一番理由が近いものとしては、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」といえそうです。実際の具体例をみながら、考えてみましょう。
「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」とは?
まず、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」とは、具体的にどのような事情を指すのでしょうか。これは、言い換えれば「夫婦関係が破綻していて回復の見込みがないとき」といえます。
裁判所としては、すでに夫婦関係が破綻していて回復の見込みがなければ、婚姻関係を続けさせる意味がないとして、当事者の意思に反して離婚を成立させても問題ないと考えるわけです。
性格の不一致だけでは足りない?
そうであれば、性格の不一致という事実だけでは、「夫婦関係が破綻していて回復の見込みがない」と判断されるのは難しいといえます。ほかに夫婦関係の破綻の事実を示すような状況が必要となります。たとえば、以下のような事実です。
■長期間の別居
単なる冷却期間とは異なり、これ以上互いがもう一緒に暮らせないとして別居している場合などは、夫婦関係が破綻して回復の見込みがないと認められやすいでしょう。
ただ、1ヵ月などの短い期間では説得力がありません。別居期間や当事者の離婚意思の強さなども総合考慮され、判例では、おおむね5年を基準にしているものが多いようです。
■相手からの暴言や暴力などDVがあった
別居が長期間でなくても、暴言や暴力などのDVの事実は重大といえ、修復不可能と判断される場合があります。
以上のように、性格の不一致だけでなく、ほかに「夫婦関係が既に破綻している」という事実があって、複合的にみれば、回復が不可能だと判断されれば、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」として、離婚が成立すると解されます。
なお、裁判官が判断するにあたっては、これまでの経緯や婚姻期間など、個別的な事情を基礎に、問題となる事実を含んだすべての事情を総合的に考慮します。同じようなケースであっても、裁判官の捉え方で、導き出す判断が異なる場合もあります。
相手が超わがままな性格だったら?
それでは、性格の不一致のなかでも、「相手のわがままに付き合い切れない」という状況での離婚の申し立てであれば、どうでしょうか。
「わがまま」と一口にいっても、そのレベルは他人からは想像できません。そのため、相手が許容範囲を超えるほどわがままな性格であり、「結果的に夫婦としての協力関係が築けずに、夫婦関係が破綻して修復不可能」と判断されれば、離婚が成立する可能性があります。
ただ、それを裏付ける事実、その証拠がどれだけ揃っているかによるといえるでしょう。たとえば、相手の言動の証拠です。わがままな言動の音声データや、動画、一方的なメールなど、相手の振る舞いが分かる証拠を揃えましょう。親戚、同僚、友人などの証言もあれば確保しておくことをお勧めします。
また、それにより、どのような結果となったのかを明確にするといいでしょう。
・仕事を欠勤させられた
・相手の一方的な支出により家計がひっ迫している
・精神的にダメージを受けて病院の診察を受けた
このように、ひとつずつ事実と証拠を積み重ねて、「夫婦関係の破綻」と判断されれば、離婚成立の可能性があるといえます。
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