(写真はイメージです/PIXTA)

今年に入り、世界における日本のGDP(国内総生産・経済規模)の順位下落に関する二つのニュースが大きく取り上げられた。一つは実績としての「日独の逆転」、そしてもう一つは近い将来における「日印の逆転」だ。日本の「GDP順位下落」の進行は一体何がマズイのか? その問題点について、ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏が解説する。

1――日本のGDPは来年世界5位に転落する見込み

今年に入り、世界における日本のGDP(国内総生産・経済規模)の順位下落に関する二つのニュースが大きく取り上げられた。

 

一つは「日独の逆転」だ。日本の名目GDP(ドル建て)は2010年に中国に抜かれて以降、世界で米中に次ぐ第3位の座を維持してきたが、年初に示された2023年の実績(4.2兆ドル)でドイツ(4.5兆ドル)に抜かれて世界第4位に下落した(図表1・2)

 

 

 

そしてもう一つは近い将来における「日印の逆転」だ。IMF(国際通貨基金)が今年4月に公表した「世界経済見通し」において、日本の名目GDP(ドル建て)が2025年にインドに抜かれて世界第5位に下落するとの見通しが示された*1。つまり、2009年まで米国に次いで世界で第2位だった日本の経済規模が、16年のうちに第5位まで順位を下げるとの見通しが示されたことになる。

 

この順位下落についてはドイツやインド側のGDP変動の影響もあるが、日本のGDPの世界経済に占めるシェアが長期にわたって低下してきた影響が大きい。

 

具体的に見ると、2000年時点で日本の名目GDP(ドル建て)が世界全体に占めるシェアは14.6%であったが、2023年時点では4.0%と1/3以下に低下した。そして、2025年には3.8%とさらに低下する見通し(IMF)となっている(図表3)

 

 

 

このような形で進む日本の「GDP順位下落」は一体何がマズイのか?その問題点について整理する。

 

*1:2023年10月に公表された前回の見通しでは日印の逆転は2026年とされていたため、1年前倒しとなった。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2024年5月31日に公開したレポートを転載したものです。

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