税務調査で個人営業の居酒屋に〈追徴課税2,000万円〉…「どこからのタレコミですか?」→税務調査官の“誇らしげな回答”【税理士の実体験】

鄭 英哲
税務調査で個人営業の居酒屋に〈追徴課税2,000万円〉…「どこからのタレコミですか?」→税務調査官の“誇らしげな回答”【税理士の実体験】
(※写真はイメージです/PIXTA)

個人で事業を営んでいる場合、つい面倒な税務申告を疎かにしてしまう人は少なくありません。しかし、「申告がなければバレない」という考えは大間違い。領収書や通帳の管理をしないまま放置していると、どんどんトラブルが大きくなってしまうようで……。本記事では、Aさんの事例をもとに、税務調査の実態について鄭英哲税理士が解説します。

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代表者には「Bさん」を登録も、税務調査は「Aさん」宅に来た

ここで驚いたのが、Aさん宅に税務署が突撃した点。

 

飲食店を始めるには、保健所で営業許可を受けなければなりません。理由はわかりませんが、Aさんは別の代表者として従業員Bさんの名前を登録していたのです。

 

言うまでもなく、居酒屋の代表者はAさんではなく、Bさんになります。もちろん商売上、Aさんの名前はどこにもありません。しかしながら、税務署は、Bさん宅ではなくAさん宅に来たのです。Aさんの自宅にたどり着いたことは、筆者も非常に驚きました。

 

余談になりますが、税務署の調査力を舐めてはいけません。預金通帳の履歴、実質的な代表者の住所、家族関係など調べうることはたいてい調べたうえで税務調査におよんでいます。

 

つまり、税務調査が入ると通帳のコピーなどの提出を求められますが、その裏ではすでに調べられていると思ったほうがいいです。

 

家族関係も同様です。調べうる限り家族関係も調べてきます。従業員がいる会社であれば、給与台帳を見て家族の名前を使って架空の給料が出金されていないか調べられます。よく、税金を免れるための共謀策について相談されますが、無駄なのでやめておいたほうがいいです。

 

通常の税務調査の対象は「3年」、悪質と判断された場合は「5年」

話を戻します。今回の税務調査は、過去「5年分」が対象であることが告げられました。通常の税務調査の対象は、「3年分」というのが多いです。それなりに悪質な場合が、「5年」。つまり今回の税務調査はそれなりに「悪質」だと判断されたのでしょう。

 

「5年」というのは、税金に関わるの時効が「5年」であることに由来しています。さらに悪質だと7年に遡られることもありますが、筆者自身まだ経験はありません。

 

ちなみにですが、税務署の職員の名刺を見ると、肩書はたいてい「国税調査官」となっています。

 

これを見て、「国税が入った!」とか「マルサだ!」という方が多いですが、国税庁が入ることはほんとないし、名刺には「〇〇税務署」と入っています。いわゆる「税務調査」というものなので、無駄に慌てることはありません。

 

筆者自身、マルサや国税の対応はしたことはありませんが、Aさんに入ったときのように税理士が対応したとしても、そのまま帰ってくれることはなく、そのまま調査開始になるそうです。

 

 

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