税務署へ開業届を提出も…
1年後、息子の受験が終わり、失業手当の給付も終了し、いよいよ個人事業主として独立。ワクワクしながら税務署へ開業届を提出し、いざビジネスをはじめましたが、ここで私は失敗をしてしまうのです。
個人がビジネスをする際、個人事業主として税務署へ届けるかどうかは自分で選択をできます。届け出をするメリットといえば、確定申告の際、青色申告ができることで控除額が上がること。金融機関に口座を開いたり、部屋を借りたりするときなど、信用が得られることなどが挙げられます。
一方、開業届を出すことで、夫の扶養に入ることはできなくなります。売り上げがなくとも自分で健康保険料や国民健康保険料を支払わなければならない。そのことに開業届を出したあとに気づいたのです(加入する健康保険組合によっても異なります)。
ライフキャリアカウンセラーとして独立開業したものの、最初の1年はなかなか売り上げが上がらず、毎月の掛け金は大きな負担になっていくなか、開業届を出さずに夫の扶養に入りながら少しずつビジネスを広げていく選択もあったわけです。
1〜2年のあいだは金銭面で大きな負担にはなりました。ですが、扶養といった枠に囚われない働き方ができることは、扶養の枠を超えてしまわないかどうかという余計なことを考えず、仕事に集中できる。その結果、自分らしい仕事や、生き方の実現へとつながっていったのです。
このように、会社員ではなく、雇われない生き方を目指すのであれば、生きていくために必要な手続きは誰かが教えてくれるわけでも、やってくれるわけでもありません。自分から動くことを意識しましょう。
便利なのは行政機関。お役所は縦割りの組織でたらいまわしになることはありますが、どこが窓口になるのか親切に教えてくれることがほとんどです。わからないことや困ったときは尋ねてみることをオススメします。
働くすべての人が「お金」について知らなければならない
日本の会社の在り方や雇用環境は、これからどんどん変わっていくでしょう。従来のメンバーシップ型の雇用では正社員であれば雇用はある程度保障されていたので、生きていくために必要なお金や手続きについて、あまり深く考えなくても困ることはありません。
ですが、ジョブ型雇用の社会になれば話は変わります。いつ、なんどき、あなたの仕事がなくなるかもしれません。そこで新たな価値提供ができなければ、会社にいることはむずかしくなるかもしれません。
このように人材の流動化が進んでいくようになれば、個人事業主だけでなく、働く人すべてが生きるために必要なお金や手続きについて知る必要があるのです。
江野本 由香
ライフキャリアコンサルタント
※本記事は『キャリアと子育てを両立する!自分と家族の価値軸で築く幸せな生き方』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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