女性の再婚禁止期間が撤廃された
2つ目は、再婚禁止期間の撤廃です。
改正により、女性の再婚禁止期間に関する規定が丸ごと削除されました。これにより、令和6年4月1日以後は女性も男性と同じく、離婚後すぐに再婚することが可能となっています。
嫡出否認制度が見直された
3つ目は、嫡出否認制度の見直しです。
嫡出否認制度とは、嫡出の推定を否認する制度です。先ほど解説したように、嫡出推定規定は、生物学上の父子関係に関わらず出生の時期と婚姻の関係から自動的に父子関係を推定するものです。推定規定を働かせるためには、夫婦の実態の有無などは問われません。
そのため、たとえば「離婚はしていないものの夫婦が長年別居して会ってもいない期間に、妻が婚姻外のパートナーの子どもを懐胎し出生した」ような場合であっても、その子どもは法律上の夫の子であると推定されます。
しかし、法律上の父となれば、子どもの扶養義務が生じるほか、相続権なども発生します。そのため、「嫡出推定規定によって子どもの父と推定されたが、実際には自分は子どもの父ではない」という場合に、嫡出否認調停を申し立てることができるほか、調停がまとまらない場合には裁判所に訴えを提起することで親子関係を否定することができます。
これが嫡出否認制度です。
これまで、この嫡出否認に関する調停の申立てや、調停がまとまらなかった場合の訴えの提起は、その子どもの父と推定された夫にだけ認められていました。さらに、子どもの立場を安定させるため、嫡出否認調停の申立てができるのは、夫が子どもの出生を知ったときから1年以内に限定されていました。
しかし、先ほどの例のように明らかに夫の子ではない場合であっても、夫がさまざまな理由から嫡出を否認しない場合があります。この場合であっても、子どもを出生した母や子ども自身は、嫡出否認調停の申立てや嫡出否認の訴えの提起をすることができませんでした。
そこで、今回の改正により、子どもを生んだ母や子ども自身も嫡出否認調停の申立てや訴えの提起をすることが可能となりました。また、一定の場合には、その子どもの父と推定されなかった前夫も嫡出否認の調停や訴えを提起することができます。あわせて、嫡出否認調停の申立てができる期間が、子の出生を知ったときから原則として3年間へと伸長されました。
なお、改正法は原則として施行日である令和6年4月1日以降に生まれた子どもに適用されます。ただし、施行日より前に生まれた子どもであっても、施行日から1年間に限り、子どもやその母が嫡出否認調停の申立てや訴えの提起ができることとされました。施行日より前に生まれた子どもの嫡出推定規定でお困りの際は、お早めに弁護士へご相談ください。
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