離婚後の再婚禁止期間が撤廃されたワケ
再婚禁止期間が撤廃に関する一連の改正がなされた最大の理由は、無戸籍問題の解消です。
従前の規定の場合、前夫との離婚から300日以内に生まれた子どもは、たとえ出生時点で女性が再婚していても前夫の子であると推定されていました。さらに、この子どもの嫡出推定を否定できるのは前夫だけであり、明らかに前夫の子どもではない場合であっても、子どもの母などは嫡出を否認することができませんでした。
前夫が嫡出否認調停や訴えを提起すればよいものの、前夫がなんらかの理由で元妻との関係性を維持したいと考えている場合や、法律上の子どもが欲しいと考えている場合は、あえて嫡出否認を主張しない事態も十分に想定されます。特に前夫からDV(ドメスティック・バイオレンス)の被害に遭っていた場合などには、子どもが前夫の子どもと推定される事態は恐怖でしかないでしょう。
そのため、生まれた子どもが前夫の子どもであると推定される事態を避けるため、子どもを出生しても出生届を出さない事態が散見されていました。この場合、生まれた子どもは無戸籍となり、原則として住民票やパスポートが作れないなど生活のさまざまな場面で多大な不利益が生じます。
このような事態を避けることを主目的として、嫡出推定規定や嫡出否認制度の見直しがなされました。嫡出推定が重複することがなくなったことから再婚禁止期間を設ける実益がなくなり、再婚禁止期間が撤廃されています。
離婚後の親権者の再婚は子どもにどう影響する?
最後に、少し視点を変えて、離婚後の再婚が子どもに与える法律上の影響について解説します。ここでは、離婚によって妻が未成年の子どもの親権者となり、その後妻が再婚した場合を前提とします。
再婚だけを理由に親権が奪われることはない
親権者が再婚をしても、再婚だけを理由として親権が元夫に変更されることはありません。反対に、再婚したことだけを理由として、子どもの親権を放棄することなども不可能です。
なんらかの事情で子の利益のために必要がある場合は親権者の変更が認められることもありますが、家庭裁判所による許可が必要です。
再婚だけでは養育費は減額されない
養育費とは、子どもの監護や教育のために必要となる費用です。養育費の負担は親としての義務であり、親権を持たなかった側の親から親権者に対し、毎月など定期的に支払う形で養育費がやり取りされることが一般的です。
この養育費は、親権者が再婚をしたことだけを理由に減額されるものではありません。親権者の再婚は、子どもの扶養義務に影響するものではないためです。
一方で、子どもが再婚相手の養子となった場合は、養育費が減額されたり支払いが免除されたりする可能性が高いでしょう。なぜなら、子どもが再婚相手の養子となった場合、子どもの扶養義務は、養親となった再婚相手が実親である元夫に優先すると解されているためです。
ただし、この場合であっても一方的な減額や滞納が許されるわけではありません。養育費の減額や免除は、支払い義務者である元夫と親権者である元妻が合意するか、家庭裁判所の調停や審判で決する必要があります。
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