「ねんきん定期便」誕生の経緯
そもそも「ねんきん定期便」とは、いつから始まったものなのでしょうか。
1997年に基礎年金番号が導入されてから、それまで複数の年金番号を持っていた人も生涯1つの番号で管理されることとなりました。
しかし、2007年に「年金記録問題」が発覚。基礎年金番号に統合されていない持ち主不明の年金記録が約5,095万件※もあることがわかったのです。この原因は、紙台帳等で管理していた年金記録をデータへ移行する作業などに不備があったためといわれています。
※ 2023年9月時点でも、持ち主不明の記録はいまだ約1,726万件残っている。
そこで2009年4月から、年金保険料納付などの年金加入記録や年金受給見込額を保険加入者本人が確認できるように、「ねんきん定期便」が郵送されるようになりました。
令和4年度末現在、公的年金被保険者は6,744万人にのぼります。また、老齢厚生年金受給者の平均月額は14万4,982円、老齢基礎年金のみの平均月額は5万6,428円です※。
※ 厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より。老齢厚生年金受給額には老齢基礎年金も併給。
最近の月別の年金保険料の納付状況やこれまでの年金加入期間、老齢基礎年金と老齢厚生年金の見込受給額などは、日本年金機構から毎年誕生月にハガキで郵送される「ねんきん定期便」で知ることができます。
このねんきん定期便は、35歳、45歳、59歳の誕生月には、ハガキではなく水色の封筒で届きます。ここには、これまでの勤め先の名称や加入期間の年月日が記載された「年金加入歴」や「厚生年金保険における標準報酬月額などの月別状況」、「国民年金保険料の納付状況」が記載されています。
なお、60歳未満のねんきん定期便には、現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定した場合の見込受給額が、また60歳以上65歳未満のねんきん定期便には作成時点の年金加入実績に応じた見込受給額が表示されています。
「ねんきん定期便」には“記載されない情報”も
現在、ねんきん定期便に記載されている情報は、国民年金(老齢基礎年金)と、厚生年金(老齢厚生年金)」の報酬比例部分や経過的加算などの受給見込額です。
そのため、受給対象者は限られますが、「加給年金」や「振替加算」の見込額の記載はありません。
また、国民年金に上乗せする「国民年金基金」、厚生年金に上乗せする企業年金の「企業型確定拠出年金」や「確定給付年金」、「厚生年金基金」は、私的な年金ですので、ねんきん定期便には記載されません。
ただし、厚生年金基金の加入記録はねんきん定期便に記載されます。また、基金加入者の「老齢厚生年金」受給見込額は、以前は基金が代行する報酬比例部分※を除いた記載でしたが、2021年6月以降は、報酬比例部分も含めた受給見込額が表示されるようになりました。
※ 後述の[図表]を参照のこと。