メリット②株価変動の不合理を、大ヤケドせずに学べる
株価は、ときとして非合理的な動きをしますし、暴落もします。そんなとき、投資初心者は「理屈から考えて株価が安すぎるから買ったが、さらに値下がりして損をした」「暴落して気が動転して狼狽売りをしてしまった」といった失敗をする場合も多いようです。
多額の投資を始めてから失敗すると損失が膨らんでしまうので、そうしたリスクを軽減するためには少額の投資信託を保有している間に株価の値動きをしっかり観察しておくことが役立ちます。
毎日株価を眺めて上がった理由や下がった理由を考えていると、「特に理由は無いのに、皆が上がると思って買い注文を出したから上がった」といったケースも多いことに気づくでしょう。これをケインズは「美人投票」に喩えています。「株の短期投資で儲けたかったら、真実を知ろうとするより投資家たちの噂話に耳を傾けろ」といったことなのですが、その話は長くなるので拙稿『投資初心者ほどやりがちな「株価が上がりそう→急ぎ購入→撃沈」の無限ループ…あなたの予想が当たらないのは、偶然ではない【経済評論家が解説】』をご参照ください。
株価が暴落しても、少額の投資であれば狼狽売りをすることなく、持ち続けて株価の動きを観察し続けることができるでしょう。そうしている間に株価が戻るということを手触り感を持って観察できていると、将来多額の投資をしているときに株価が暴落しても狼狽売りをせずに済むかもしれません。
平均株価の過去数十年のグラフを眺めているだけでも、「株価は過去に何度も暴落しているが、その都度戻ってきた。今度だけは例外だ、と考える理由は特に無い」という考えに至ることは可能でしょうが、実際に暴落しているときに毎日株価をしっかり観察している経験には及ばないでしょう。ちなみに株価暴落時の狼狽売りについては、拙稿『【株価暴落時あるある】投資初心者、号泣「自分が売るたび、価格が戻る!」…イジワルな市場の動きに秘められた〈納得の理由〉』を併せてご覧いただければ幸いです。
メリット③投資を始めるタイミングを失わない!
将来、本格的に投資を始めるべきときが来ても、「実際に始めるのは手続きが面倒だろうから、時間に余裕があるときに始めよう」と考えて、結局いつまでも始めない人も多いようです。
あるいは、「株は暴落するかもしれないから怖い」などという心理が働くと、「今は忙しいから、時間に余裕ができたときに投資を始めよう」といった自分への言い訳を思いついてしまうかもしれません。
しかし、1万円の投資をすでに行なっているならば、その口座の残高を積み増せば良いだけなので、面倒な手続きは不要です。思い立ったときに抵抗感なく本格的な投資が始められるわけです。じつはこれも、若いときに1万円の投資信託を買っておくことの大きなメリットの一つだと筆者は思います。
ちなみに、大切な老後資金は投資信託の積立投資が良い、と筆者が考える理由は、銘柄分散と時間分散が容易にできるからなのですが、詳しくは拙稿『「積み立て投資、20年継続した結果…」→むしろ、損するほうがレアケースかも。長期投資のスゴイ威力【経済評論家が解説】』をご覧ください。
本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。
塚崎 公義
経済評論家
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