とはいえ、担当者が鬱になるまで追い込むのは…
実際問題、注文住宅の新築工事というのは、とにかく決めることが多く、打ち合わせ担当者・現場監督・具体的な作業を行う職人…と、多人数が現場に関わるため、どうしても業者側の連絡ミスなどが起こりがちです。
とはいえ、担当者が鬱になるまで追い込むのは「カスハラ」ないし「クレーマー」と言ってよいと判断しました。一部ではありますが、担当者とのラインのやり取り等をみても、なかなか苛烈な表現を使われていました。
また、要求する事柄も、確かに不満の残る結果かもしれませんが、少なくとも駐車場のタイルの仕上がり(③)自体は、一般的な工務店の水準からしてもおかしくない、むしろ綺麗にできているといってよい仕上がりであり、外構工事代金を一切支払わない(④)というのは明らかに過剰な要求でした。
上記のケースでは、すでに工事も終わり、外構工事代金を支払ってもらえないという状況でしたので、「カスハラ」「クレーマー」への対応というより、最終代金の回収事案というかたちで介入し、内容証明郵便を送付するなどしたうえで、代金回収業務として進めていきました。
最終的には顧客とも和解し、298万円の代金のうち、8万円を解決金(お詫び代)として差し引き、290万円を回収して一件落着となりました。
どのラインで解決を目指すか、慎重な対応が重要に
企業法務の現場では、確かに会社側にも落ち度があるものの、「法的な見地から見て、過剰要求なのか否か」、また「解決するための落としどころとして、どのようなお詫びをすべきるか、あるいはなにもしないでおくべきか」といった点を、顧問弁護士等に相談しながら進める企業が増えていると感じます。
世の中、「カスハラ」「クレーマー」といっても、一方的に悪いだけではなく、企業側にも落ち度があるようなケースは、どのラインでどのような解決を目指すのか、慎重な検討が必要であり、難しい問題をはらむケースが多いといえるでしょう。
(※守秘義務の関係上、実際の事例から変更している部分があります。)
山村 暢彦
山村法律事務所 代表弁護士
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