ドル円相場の「円安」騒ぎ…実は“目くらまし”だった!? 裏で〈不換紙幣全体の大幅下落〉がはじまった可能性【マクロストラテジストが解説】

ドル円相場の「円安」騒ぎ…実は“目くらまし”だった!? 裏で〈不換紙幣全体の大幅下落〉がはじまった可能性【マクロストラテジストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。

筆者が考える「日本の国力衰退」のきっかけ

筆者個人は、日本の国力(→筆者の定義は、国際政治学でいう「パワー」)の衰退は、実効レートの動きに先立つ1980年代以降、日本外交敗北の色彩がさらに濃くなり、国内の財・サービス・金融・資本・労働市場の開放、公社の民営化や株式の持ち合い解消など、日本企業がグローバル化のアジェンダを受け入れ始めたことが起点であると考えています。

 

最近の我が国はますます、さまざまなグローバル化のアジェンダを取り入れており、筆者の目には日本は米国とともに、円はドルとともに、長期的にみて衰退の一途をたどっているように映ります。

 

ドル円をめぐる騒ぎは「目くらまし」ではないか

[図表4]パンデミック前(2019年12月末)と比べた米ドルの騰落率
[図表4]パンデミック前(2019年12月末)と比べた米ドルの騰落率

 

円安とともに騒がれるのがドル高です。しかし不換紙幣のなかで最も強い米ドルは、ゴールド対比では大幅に下落しています。

 

ゴールドや資産価格対比で考えるとドル円相場の動きは些末なものに過ぎず、不換紙幣間の交換レートをめぐる騒ぎは、不換紙幣全体の大幅下落の「目くらまし」に過ぎないのではないかと筆者は疑っています。

 

それはあたかも、物価の上昇に焦点を当て、通貨価値の下落という裏面をわかりにくくする「インフレーション」という言葉と似ています。

 

われわれ家計は、グローバル投資家や政府から不換紙幣を押し付けられているのかもしれません。

 

逃避で「先回り」をしている人がいるのならば、資産運用は大事だろうと筆者は考えています。

 

重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト

 

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