厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」が増加しているようです。その動機はさまざまですが、もしも熟年離婚を検討するのであれば、その後の綿密なライフプラン設計が欠かせません。なかには、自ら離婚を切り出しておきながら撤回を望むケースも……。とある専業主婦の事例をもとに、山﨑裕佳子CFPが熟年離婚のリスクと老後計画の重要性について解説します。
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信じられない…50歳専業主婦、“子育てにノータッチ”の夫に愛想を尽かし離婚宣言→16歳長男から告げられた「まさかの事実」に号泣。離婚撤回を望んだワケ【CFPが警鐘】
離婚理由のトップは「性格の不一致」
裁判所「令和6年司法統計年報」によると、令和6年に裁判所が取り扱った離婚申立ての動機で最も多かったのは「性格が合わない(性格の不一致)」で、男女ともに最多となっています。
離婚申立ての件数自体は、下記図表のように夫よりも妻からのほうが多い傾向にあるものの、性格の不一致を理由とする申立てに限ると、申立人が夫であるケースが約60%(1万5,396件中9,233件)、妻による申立ては約38%(4万3,033件中1万6,503件)となっており、夫側が離婚を申し立てる際には、性格の不一致を動機とする割合が高いことがわかります。
親権を持つのは妻が8割強…根強く残る「子育て=母」の意識
子どものいる夫婦の離婚の場合、親権をどちらが持つかという問題が生じます。
厚生労働省「人口動態統計」によると、たとえば子どもが1人の場合、1950年代~1960年代にかけては、親権を夫が持つケースが半数を超えていましたが、近年は徐々にその傾向が変化し、1995年以降は妻が親権を持つ割合が8割を超えています。2023年には86%を上回りました。
妻が親権をもつようになった背景には、家制度の廃止や女性の社会的地位の向上、福祉制度の充実など、時代の変化が影響していると考えられます。
また、昨今は男女平等が当たり前の価値観となりつつあるものの、子育ての実態としては母親が中心となる場面が多く、親権が母親に渡るケースが多いのもその影響と考えられます。
ただし、子ども自身が意思をしっかり示せる年齢に達していれば、必ずしも母親側が親権を持つことが最善とは限りません。状況によって異なるケースも出てきています。
