Thai PBS Worldより

タイの公共放送局『Thai Public Broadcasting Service』(Thai PBS)が運営する英語ニュース・サイト『Thai PBS World』より翻訳・編集してお伝えする。

自動車競争に取り残される

その一例が、自動車産業が直面している不安である。タイはかつて 「アジアのデトロイト」と呼ばれていたが、最近その自動車市場はマレーシアに追い抜かれている。

 

日経アジアによると、マレーシアの自動車販売台数は今年第1四半期まで3四半期連続でタイを抜いている。インドネシアがASEAN最大の市場となったため、タイの順位は3位に落ちた。タイの自動車市場の落ち込みは、経済成長の鈍化と家計負債の高止まりが主な原因である。

 

タイの家計負債はGDPの91%にまで上昇した。タイが経済成長の鈍化に苦しんでいる一方で、他のASEAN諸国は好調を維持している。

 

アセアン最大の経済大国インドネシアは、2023年に5%成長した後、今年第1四半期は5.1%成長した。マレーシアは第1四半期に4.2%成長し、2023年には3.6%成長。フィリピンは今年第1四半期に5.7%、昨年は5.5%、ベトナムはそれぞれ5.7%、5%成長した。

 

マレーシア、そしてベトナムは、半導体などのハイテク投資の誘致に成功している。インドネシアはバッテリーや電気自動車に不可欠なニッケルの埋蔵量が豊富である。

 

タイは中国のEVメーカーから海外直接投資を誘致できるかもしれないが、多くの評論家は、中国が独自のサプライチェーンを持ち込むため、タイは中国の投資からはあまり恩恵を受けないのではないかと懸念している。

 

しかし、一部の評論家は、米国が中国製の電気自動車に100%の関税を課すことを決定したことで、タイがEV製造拠点としてより魅力的になる可能性があると推測している。

 

タイ電気自動車協会のクリスダ・ウタモテ会長は、「自動車部品の製造に携わる地元企業は中国からの投資で利益を得ることができると考えているが、米国市場に参入する中国車に高関税を課すという米中貿易摩擦により、タイが利益を得られるかどうかはわからない」と述べた。

 

低迷する経済を浮揚させるため、過去も現在も政府は他のASEAN諸国に追いつくべく、新たなS字カーブ産業を推進しようとしているが、その結果はまだ分からない。

 

 

文=Thai PBS World ビジネスデスク

 

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本記事は、THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)が提携するタイのメディア『Thai PBS World』が2024年6月2日に掲載した記事「Has Thailand become the sick man of Asean?
」を翻訳・編集したものです。

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