「大谷翔平選手がホームランを打つと、日経平均株価が上昇する」というスゴい現象【エコノミスト・宅森昭吉氏】

景気の予告信号灯としての身近なデータ(2024年5月15日)

「大谷翔平選手がホームランを打つと、日経平均株価が上昇する」というスゴい現象【エコノミスト・宅森昭吉氏】
(※画像はイメージです/PIXTA)

今シーズンは「大谷翔平選手が日本時間午前中開始の試合でホームランを打った日は、日経平均株価が上昇する」という興味深い状況が5月15日まで継続しています。「景気の予告信号灯となる身近なデータ」として、本稿では、大谷翔平選手のホームランと日経平均株価を見ていきましょう。※本連載は宅森昭吉氏(景気探検家・エコノミスト)の『note』を転載・再編集したものです。

今季、大谷選手のHRが「人々に元気を与える話題」に

日本時間5月15日、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が6試合ぶりに、サンフランシスコ・ジャイアンツ戦でナ・リーグ最多タイに並ぶ第12号ソロホームランを打ちました。3月20日の韓国での開幕戦直前の日経平均株価は3月19日終値の40,003円60銭でしたが、5月15日の終値は38,385円73銭で、▲1,617円87銭低下しています。日経平均株価は概ね低下局面と言える中、今シーズンは、5月15日現在、大谷選手がホームランを打った日は、これまで日経平均株価が下落したことが一度もないという興味深い現象が続いています。

 

現在、毎日のようにニュースで大谷選手の試合結果が、報じられています。明るいニュースが少ない状況下、大谷選手のホームランは人々に元気を与える明るい話題になっています。

 

[図表1]2024年シーズン(日本時間5月15日まで):ドジャース・大谷翔平のHRと日経平均株価・前日差

見るのが好きなスポーツとして「大リーグ」が躍進。大谷効果か

毎年1~3月頃に実施されている「読売新聞スポーツ世論調査」で、好きな見るスポーツのランキングで毎年の第1位は「プロ野球」ですが、「大リーグ」が23年に第9位とベストテンに入り、今年・24年は「大リーグ」が第4位まで上昇しました。

 

大リーグ人気の高まりには、近年の大谷翔平選手の活躍が大きく寄与していると思われます。21年シーズンには01年のイチロー選手以来となる日本人史上2人目のシーズンMVPを受賞しました。22年シーズンにはベーブルース以来104年ぶりとなる、2桁勝利・2桁本塁打を達成しました。また、投手・打者の両方で規定回(投球回・打席)に達した初めての選手となりました。23年のWBCでは、エース兼打者として日本の優勝に大きく貢献し、WBCのMVPも受賞しました。シーズンでは日本人初となる本塁打王になり、さらに日本人史上初の2回目のシーズンMVPも受賞しました。

 

[図表2]読売新聞スポーツ世論調査「好きな見るスポーツ・ランキング」

好きなスポ―ツ選手ランキングで今年は「ぶっちぎりの第1位」

「読売新聞スポーツ世論調査」では好きなスポ―ツ選手のランキングも発表しています。大谷翔平選手は22年の調査で、初めて第1位になり、今年・24年まで3年連続で第1位になっています。この調査は好きなスポーツ選手を3人まで自由に書く方式で、24年では大谷選手が634票と過去最高の票を獲得、2位の76票を大きく引き離しています。22年は大谷選手397票、2位165票でした。23年では大谷選手444票、2位78票でしたので、年を経るごとに大谷選手の人気が一段と高まってきた感があります。

 

[図表3]好きなスポーツ選手 上位ランキング

大谷人気が高まるにつれて「日経平均が上がる確率」も顕著に

ロサンゼルス・エンゼルスに在籍していた最後の3年間、21年から23年までの、大谷選手のホームランを打った日と、ホームランのニュースを聞いた後の日経平均株価の動きをみると、21年は10回上昇、19回下落、土休日は14回(1試合2本打ったときも1回で計算)でした。22年は9回上昇、8回下落、土休日は11回という結果で、上昇が僅かに1回多いという21年よりは良い結果でしたが、この年ぐらいまでは、大谷選手がホームランを打っても日経平均株価の動きは、関係ないという状況でした。

 

23年19回上昇、10回下落、土休日は11回と株式市場が開いている日に大谷選手がホームランを打つと、概ね3分の2の確率で日経平均株価が上昇するようになりました。24年は、連続上昇記録がどこまで続くか、注目してみていきたいと思います。

 

 

※本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。

 

宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)

三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。

 

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