《令和8年大相撲名古屋場所》
関脇・安青錦、初場所以来3場所ぶり3度目優勝…懸賞本数は前年同場所比18場所連続増加、「いざなみ景気」超える74カ月・戦後最長の景気拡張更新を示唆【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】

景気の予告信号灯としての身近なデータ(2026年7月26日)

《令和8年大相撲名古屋場所》 関脇・安青錦、初場所以来3場所ぶり3度目優勝…懸賞本数は前年同場所比18場所連続増加、「いざなみ景気」超える74カ月・戦後最長の景気拡張更新を示唆【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
(※画像はイメージです/PIXTA)

身近なデータの中には、今後の景気を推察するさまざまなヒントが隠れています。本稿では、令和8年大相撲名古屋場所のデータから、企業業績と相撲の関係、そこから読み解ける景気局面についてエコノミストの宅森昭吉氏が解説します。

西張出関脇・安青錦が優勝決定巴戦を制して12勝3敗で優勝…安青錦は8例目の特例での大関復帰、優勝で花を添えたのは史上初

令和8年(2026年)大相撲名古屋場所は、東大関・霧島、東関脇・熱海富士、西張出関脇・安青錦の3人が12勝3敗で並び、巴戦での優勝決定戦が行われました。

 

優勝決定巴戦を制して優勝したのは西張出関脇・安青錦でした。25年九州場所、新大関優勝の26年初場所に続き3場所ぶり3度目の優勝です。2横綱2大関に勝利しました。左足の痛みと闘いながら出場を続けての優勝でした。

 

安青錦の3回の優勝は全て優勝決定戦によるものです。初優勝は豊昇龍を、2度目は熱海富士を破って優勝していました。名古屋場所は、巴戦で熱海富士、霧島の順に破っての優勝でした。

 

西張出関脇・安青錦は大関だった令和8年春場所で左足小指を骨折しました。稽古再開後に別の箇所を痛め、夏場所を全休しました。大関は、成績不振が続けば関脇へと降格してしまう厳しいルールが課せられています。「2場所連続で負け越す(休場も勝敗の計算上は負け)」と、大関の座を明け渡すことになり、次の場所は関脇に陥落します。但し、大関に特例で復帰できるルールがあります。

 

関脇に陥落した直後の本場所(1場所のみ)において、「10勝以上の勝星を挙げれば、特例として大関に復帰できる」というものです。大関復帰特例は昭和44年名古屋場所から設けられています。安青錦は左足にはテーピングを厳重に巻いて相撲を取っていましたが、名古屋場所11日目に10勝目を挙げ大関復帰を決めました。

 

特例での大関復帰は過去7回あり、6人(栃東が2度)が大関に復帰しました。安青錦は8例目です。特例で大関復帰を決め、その場所で優勝した例は史上初です。

 

(出所)各種資料 ※大関特例復帰は昭和44年名古屋場所以降に導入
[図表1]大関特例復帰(出所)各種資料
※大関特例復帰は昭和44年名古屋場所以降に導入

名古屋場所の懸賞本数は3,377本、事前申込懸賞本数は3,504本、いずれも地方場所の過去最多を更新…企業の広告費、収益の好調さを裏付け

名古屋場所の懸賞本数は3,377本で、過去最多は26年春場所の2,481本を896本上回り、地方場所としては初めて3,000本を超えました。25年名古屋場所の2,196本を上回り、前年同場所比は+53.8%の大幅な伸び率で18場所連続増加になりました。企業の広告費、収益の好調さを裏付ける数字と言えるでしょう。

 

2020年5月を景気の谷とする現在の景気拡張局面は、26年7月に「いざなみ景気」を超える74カ月目に入ったとみられます。その前の景気後退局面は2018年10月を山とするものです。大相撲本場所の懸賞本数も景気の山・谷に見合った推移となっています。

 

2018年9月の平成30年秋場所で、当時の最多の懸賞本数1989本を記録したあと、頭打ちになり、2020年5月に行われる予定だった令和2年夏場所は新型コロナのため開催中止、両国国技館で開催された令和2年7月場所が1,000本で懸賞本数の谷になっています。最近は両国国技館で開催される本場所の懸賞はこのところ、最高本数を更新し続けていて、両国国技館開催よりやや少なめの本数になる地方場所でも最高を更新し続けています。

 

(出所)日本相撲協会、各種報道
[図表2]最近の大相撲場所懸賞本数推移 (出所)日本相撲協会、各種報道

※過去最高(赤色)、令和8年夏場所は3,563本で史上最高更新。
※地方場所最高(オレンジ色)令和8年名古屋場所で3,377本と地方場所最高更新。

 

大相撲名古屋場所の懸賞金事前申込本数が3,504本で、地方場所最多だった26年春場所の2,724本を28.6%上回りました。25年の名古屋場所の懸賞金申込本数は2,196本だったので、前年同場所比+46.5%の大幅増加になりました。

 

(出所)日本相撲協会、各種報道
[図表3]最近の大相撲本場所懸賞本数推移 (出所)日本相撲協会、各種報道

※令和8年春場所、事前申し込み2,724本、実績2,481本更新。※令和8年名古屋場所、事前申込3,504本、実績3,377本ともに連続して地方場所最高更新。

※令和8年初場所、事前申込3,469本、実績3,355本で過去最高。令和8年夏場所、事前申込4,241本、実績3,563本で過去最高。

 

名古屋場所千秋楽に懸かった懸賞本数は309本で、地方場所の1日での最多記録となりました。

 

名古屋場所で一番多く懸賞を獲得したのは、9勝6敗の成績でしたが西横綱・大の里の345本でした。第2位は東関脇・熱海富士の266本で、優勝した西張出関脇・安青錦は207本で第5位でした。

 

(出所)日刊スポーツ
[図表4]大相撲名古屋場所懸賞獲得ベスト5 (出所)日刊スポーツ

 

名古屋場所13日目結びの東関脇・熱海富士が東横綱・豊昇龍に勝った一番に名古屋場所最高の60本の懸賞が懸かりました。地方場所の懸賞は東京場所のように森永賞がないので、60本が最高です。これも名古屋場所の懸賞の多さが実感できる数字です。

 

(出所)各種資料
[図表5]令和8年名古屋場所で58本以上の懸賞が懸かった取り組み (出所)各種資料

 

 

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。

 

 

宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)

三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。

 

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