26年7月消費者マインドアンケート調査物価上昇判断DI、中東情勢緊迫化前の2月以来の低水準だった6月87.1から88.5に上昇も、過去最高だった5月92.8には届かず
消費者マインドアンケート調査は5段階の評価の回答なので、景気ウォッチャー調査と同じ手法で物価上昇判断DIをつくることができます。物価上昇判断DIは、調査開始の16年9月から22年1月までは60台・70台で安定推移していましたが、ロシアがウクライナ侵攻した月の22年2月調査以降、物価上昇判断DIは80台・90台で、物価が上昇するという見方が強い状況が継続しています。
物価上昇判断DIは、25年2月に90.2と20ヵ月ぶりの90台を記録しました。その後25年3月以降26年3月まで80台で推移しました。25年2月の90.2からの振幅を伴いつつ緩やかながらの下降傾向でした。26年2月は82.1と25年11月に並ぶ低水準でした。
しかし、2月末以降の中東情勢緊迫化で26年4月は91.3とこの時点での史上最高水準まで上昇、5月は92.8とさらに最高水準を更新しました。しかし、6月は中東情勢の緊迫状況が幾分和らいだことや、昨年高騰していたコメ価格が落ち着いてきたことなどから、87.1へと4ヵ月ぶりに低下しました。7月では中東情勢が再び緊迫状況になり原油価格上昇したことなどから、88.5に上昇しました。
回答の内訳比率をみると、26年2月は「上昇する」が47.1%と2ヵ月連続で低下していましたが、26年3月では「上昇する」が60.4%と反転し、4月67.9%、5月72.4%へと上昇、初の70台になりました。しかし、6月は57.8%に低下し、7月は58.8%になりました。また、26年3月~5月は低下方向の選択をした人がいませんでしたが、6月は「やや低下する」が3.1%に、7月は「やや低下する」が1.0%と回答する人が出てきました。
※一番右の欄の数字は、上が景気ウォッチャー調査と同様に加重平均して求めたDI。同じ欄の下の数字は、「上昇する」と「やや上昇する」の割合の単純合計。
米国とイランの攻撃の応酬が再開、WTI原油価格の調査期間最終日7月20日終値は82ドル/バレル台で6月15日以来の水準に
6月17日に米国とイランは戦闘終結に向けた暫定合意の覚書に署名したにもかかわらず、6月25日から攻撃の応酬が始まりました。6月28日にはいったん攻撃停止で合意しました。しかし、7月6日にイランが2隻の商船をミサイルで攻撃したことから、再び米国とイランの攻撃の応酬が始まり、その後互いにエスカレートしています。またイランは7月12日にホルムズ海峡の再封鎖を宣言、トランプ米大統領は7月13日にイランに対する海上封鎖を再開しました。WTI原油価格の7月20日終値は82.48ドル/バレルで、6月15日以来の高値になりました。
なお、調査期間の後の7月21日の原油先物は米国とイランの攻撃応酬や、イエメンの親イラン武装組織フーシ派によるサウジアラビアに対する海上封鎖表明を受け、中東におけるエネルギー供給の混乱が一段と悪化するとの懸念が広がりました。WTIは84.79ドル/バレルと6月12日以来の高値で終えました。
7月の消費者マインドアンケート調査機関の調査はこうした中東情勢の再緊迫化と、原油価格WTIが7月頭には2月下旬以来の60ドル/バレル台後半の水準だったのに対し、調査期間の最後の方では80ドル/バレル台前半に上昇したことが反映されたものと思われます。
26年7月の暮らし向き判断DIは41.0で2ヵ月連続の上昇、24年9月と同水準に戻る
暮らし向き判断DIは、2026年1月は24年9月41.0以来16ヵ月ぶりの40台に戻り、2月はさらに40.4へと5ヵ月連続で上昇しました。その後、中東情勢緊迫化の影響で、3月34.5、4月33.6、5月29.9と3ヵ月連続で低下し、25年5月28.0以来12ヵ月ぶりの低い水準になりました。しかし、26年6月36.3、7月は24年9月と同じ41.0に戻りました。
調査期間中、6月調査日銀短観が事前の予測より良好な結果になったことなどから、足元の景気が思ったよりも良いと考えた回答者も多かったものと思われます。
26年7月の物価上昇判断DIは2ヵ月ぶりの上昇も、暮らし向き判断DIは2ヵ月連続の上昇で、最近の相関係数と逆方向の動きに
消費者マインドアンケート調査の暮らし向き判断DIと物価上昇判断DIの相関係数は16年9月から21年8月までの最初の5年間は0.01と無相関でしたが、21年9月から26年6月までの最近の4年10ヵ月間では▲0.64229のマイナスで逆相関の関係がありました。
21年9月から26年7月までの最近の4年11ヵ月間の相関係数は▲0.60967とマイナスが小さくなり、逆相関の関係がやや弱くなりました。
なお、将来的に日銀が目指す物価目標である消費者物価指数前年比+2%が安定的に実現した場合、物価上昇判断DIは全員が「やや上昇」を選択するときの75.0程度になることが期待されます。
スーパーのコメ価格・前年同週比は19週連続でマイナス基調継続。今後もマイナス基調継続見込み
スーパーでのコメ価格の平均価格は、25年6⽉以降、随意契約による政府備蓄⽶の流通で低下した後、新⽶の出回り等を背景に上昇し9⽉以降は4,000円/5kgを上回る水準で推移しましたが、3月9日~15日の週で5kgの平均価格が3,980円/5kgと28週ぶりに4,000円台を割り込みました。7⽉6⽇~12日の週で平均価格は3,403円/5kgまで低下しました。18週連続で5kgの平均価格が3,000円台です。
スーパーでのコメ価格の平均価格の前年同週比は、3月2日~8日の週で▲1.6%と前年比マイナスになりましたが、その後、7⽉6⽇~12日の週の▲5.2%まで19週連続でマイナスになっています。昨年、随意契約による政府備蓄⽶の流通で低下した平均価格を下回りました。一時的にプラスの可能性があった期間を過ぎた後、2ケタの減少率が先行き予測されます。
また、全国消費者物価指数では最新の5月分で米類の前年同月比が▲4.9%下落と、昨年歴史的な高騰が続いた米類が22年11月以来42ヵ月ぶりの下落に転じています。
レギュラーガソリンの全国平均価格、補助金で171円/L台以下に抑制可能なら、8月まで前年比マイナスで推移の見込み。その後9月から価格の目安175円/L程度に上げるなら、概ね10月までは前年比±0%程度で推移か
ガソリン税の暫定税率が2025年末に廃止されたことから、26年に入ってのレギュラーガソリンの全国平均価格は前年比で2ケタのマイナスが続いていました。しかし、一時的に3月16日時点では190.8円/Lで過去最高を更新し、前年比は+3.4%と一時的にプラスに転じました。政府は中東情勢に伴う価格上昇を受け、3月19日からガソリンの補助金を開始しました。レギュラーガソリンの店頭価格を1Lあたり170円/L程度に抑えるようにしているので、前年比はマイナスに転じ、直近の7月13日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は、169.9円/Lで、前年比▲1.9%となりました。
なお、共同通信が、「ガソリン価格の上昇を抑える補助金を巡り、レギュラー1L当たり170円程度とする現在の目安を9月に175円へ見直す案が政府内で浮上したことが21日、分かった。外出機会が増えガソリン需要が高まる8月までは現在の補助水準を維持し、夏休みシーズンが終わった後に縮小する。複数の関係者が明らかにした」と報じました。
9月以降、175円程度とすると10月下旬頃までは前年比±0%程度で推移するものの、その後は、前年比プラスの推移が見込まれることになります。
毎月勤労統計調査・5月速報値によると、実質賃金は前年同月比+1.4%。政府のガソリン補助金などが物価の伸びを抑えプラスの伸び率は5ヵ月連続になりました。春闘での賃上げ率の波及や最低賃金の引き上げを映して名目賃金を示す現金給与総額・5月速報値は前年同月比+3.2%です。4ヵ月連続で+3%以上になっています。
中東情勢の影響による物価上昇が気になる局面です。しかし、7月調査のESPフォーキャスト調査では、2026年内の消費者物価指数(生鮮食品除く総合)の前年同期比・予測平均値は6月調査に比べ全ての四半期でやや鈍化と落ち着いていました。7~9月期の予測平均値は6月調査+2.08%から7月調査は+1.96%と鈍化しました。10~12月期も+2%台だが6月調査+2.55%から7月調査は+2.49%へとやや鈍化しました。
名目賃金指数の予測値は年度で尋ねていますが、予測平均値は2026年度前年度比+2.77%です。消費者物価指数は帰属家賃を除く総合や、総合の予測値はないものの、生鮮食品を除く総合では予測平均値は2026年度前年度比+2.25%です。2026年度の実質賃金は若干のプラスが見込まれます。
中東情勢緊迫化から、原油及び粗油の輸入価格が4月下旬に初の13万円/KL台に。その後、10万~11万円/KL台で推移し、6月下旬に初の12万円/KL台に
中東情勢緊迫化から貿易統計・原油及び粗油の輸入価格が急騰しました。3月までは6万円/KL台でしたが、4月上旬83,257円/KL、4月中旬94,961円/KLと急激に上昇し、4月下旬には130,546円/KLの最高値を記録しました。その後、5月上旬から6月中旬まで10万~11万円/KL台で安定的に推移した後、6月下旬は123,894円/KLに上昇しました。
貿易統計で原油及び粗油の地域別の輸入動向6月速報値、中東からの輸入シェアが64.6%と25年度の93.1%から低下、代わりに代替調達で他地域から増加、最も増えたのが米国30.9%に
貿易統計で原油及び粗油の地域別の輸入動向を、直近の6月速報値と25年度で比較してみると、中東からの輸入シェアが64.6%と25年度の93.1%から28.5ポイント低下し、代わりに代替調達で他地域からが増えています。最も増えたのが米国で30.9%と、26.1ポイントシェアを拡大しました。6月速報値の中東からの価格は11.5万円/KLですが、米国からの価格は12.3万円/KLと8%程度高めになっています。
6月下旬の原油及び粗油の輸入数量の前年同旬比▲4%程度、単価の前年同旬比+94%程度
2026年の原油及び粗油の輸入の数量、金額、単価の前年同旬比の推移をグラフ化してみました。数量の前年同旬比は4月中旬に▲92%程度と激減した後、6月上中旬▲18%程度、6月下旬▲4%程度までマイナス幅が縮小しました。6月11日の中東情勢に関する関係閣僚会議資料によれば、6月の原油調達率は約8割であり、それに見合う(やや多め?)数量の前年同旬比と思われます。なお、原油調達率は7月約10割となっていますので、目先、数量の前年同月比のマイナスはさらに縮小していくものと思われます。
一方、単価の前年同旬比は4月下旬に+83%程度まで急騰した後、5月上旬+70%程度、中旬+57%程度まで鈍化し、その後5月下旬+76%程度、6月上旬+79%程度、中旬+81%程度、下旬+94%程度と上昇率が高まるかたちで推移しています。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)
三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。
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