(※写真はイメージです/PIXTA)

収入が減ったら、そのぶん支出を減らす……当たり前のように感じますが、生活水準を下げることは決して簡単ではありません。上場企業の重役であった夫を亡くした“元セレブ妻”Aさんの事例をもとに、資産に余裕があっても起こり得る「老後破産」の恐ろしさと、その対応策をみていきましょう。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。

なにかおかしいぞ…Cさんが感じた「母親の異変」

しかし、Cさんが実家に行くたびに増える新たな品々。なにを買ったのか聞いても「さぁ、なんだったかしら」とよく覚えていない様子です。さらに、以前はおしゃべりだった母が、最近はよくボーッとテレビをみています。

 

なにかおかしいぞ……母親の様子が心配になったCさんは、Aさんのかかりつけ医に診てもらったうえで、念のためにと大学病院で認知症の検査を受けさせました。

 

結果は「年相応の症状は出ているものの、認知症にまでは至ってない。また心身ともに治療や介護の必要はなく、介護認定を受けてもおそらく非該当だろう」ということでした。ただ、Cさんは医師から「心配であれば自治体が設置している『地域包括支援センター』に介護予防の相談に行ってはどうか」と助言を受けたそうです。

 

Cさんはひとまず安心したものの、長男としてどうすべきかを悩んだ末、親族以外の冷静な視点からアドバイスがほしいと、父Bさんの知り合いであった筆者に連絡をくれたのでした。

おいおいウソだろ…Cさんが驚愕したAさんの資産状況

電話で事情を聴いた筆者は、後日Aさんの自宅へ伺うことに。AさんとCさんと、Aさんの“第2の人生”について話し合いました。

 

このまま生活水準を下げられない場合、80歳までに「破産」の危機

Aさんはいわゆるどんぶり勘定で、家計の収支を把握していませんでした。そこでCさんは、Aさんの承諾を得て、Aさんの財布や引出しに残っていたレシート、BさんからAさんに名義を変えた銀行の通帳から、毎月の支出額を調べたそうです。

 

すると、百貨店での買い物やホテルや料亭などでの外食、テレビショッピングなど、毎月かなりの額を使い込んでいることがわかりました。具体的には、Bさんが亡くなってから現在までの3年間で毎月50万円以上、多い月には100万円以上も使っていたのでした。

 

しかし、現在Aさんの年金は172万円、月額にして約14万3,000円です。

※内訳……自身の老齢基礎年金(71万円)+老齢厚生年金(13万円)+遺族老齢年金(88万円)

 

約8,000万円あった口座残高も、ここ3年で2,000万円ほど減っています。現在の生活を続けていくと、決して大げさではなく、80歳を待たずに家計が破産してしまう計算です。

 

母親の思わぬ“破産危機”を知ったCさんは「おいおいウソだろ……母さん、どうしちゃったんだよ」と、にわかには信じられない様子でした。

 

次ページ破産回避のため…Aさんは月にいくらまで使える?

※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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